町工場が開発した画期的冷凍「CAS」―魚・野菜を超長期保存

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   食生活だけでなく、医療の世界まで変えるかもしれない「CAS冷凍」といわれる新冷凍技術を『スパモニおNEW!』で取り上げた。

   CASは「CELL(細胞) ALIVE(生きた)SYSTEM」の略。従来の急速冷凍では、食材の水の分子が凍ってしまうため細胞が潰れ風味が失われていたが、CAS冷凍は食材の水の分子を振動させて均一に並べた状態で冷凍。このため、細胞が壊れずに長期保存が可能という。

   新冷凍技術のメリットは、風味が落ちず新鮮なまま長期保存できること。このため魚介類や野菜を大都市や海外へ1年中いつでも出荷できるという。

40年間の試行錯誤

   CASを開発したのは千葉県流山市の「アビー」という従業員45人の中小企業。町工場の営業マンだった大和田哲男社長が、農・漁業など1次産業に元気を出して欲しいと一念発起。技術を学び40年間試行錯誤の末に開発した。

   鳥取・境港から北に60キロ、船で3時間かかる日本海に浮かぶ人口2500人の離島、島根県海土町。今、その成果が現われている。

   主要産業は漁業だが、獲った魚が境港の市場に届くころには鮮度が落ちてしまう離島ゆえの悩みを抱えていた。そこでCAS凍結センターを5年前に建設、特産の白イカや岩ガキなど50品目のCAS冷凍を行った結果、これが「おいしい」と大人気を得た。若者も島に定着し過疎化に歯止めがかかっているという。

歯の移植にも応用

   CAS冷凍は食材だけでなく、医療の分野にも活用され始めている。広島大学がCAS冷凍を使った『TEETH BANK(歯の銀行)』に取り組んでいる。歯の移植は、従来の冷凍では歯の根元にある歯根膜が死んでしまうため、抜いた歯はその日のうちに移植する必要があった。CAS冷凍なら歯根膜も生きたまま長期保存が可能なのだという。

   スタジオには、今年3~5月にとってCAS冷凍しておいた生カキを用意。司会の赤江珠緒アナが「食していただきます」と勧める。「だいじょうぶ?」と言っていた経済アナリストの森永卓郎だったが、ひと口食べて「美味しい、すごく美味しい」

   作家の吉永みち子「日本の将来がちょっと明るくなってきましたね」

   これぞ世界に誇る日本の中小企業の実力。コツコツと40年間、開発に取り組んだ努力は、大企業にはできない真似だ。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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