近年、身の回りの整理ができない、様々なものを片付けられない人が増えているという。明日やろうというのが積もりに積もって、一部屋全部がまるで物置のような状態になったり、ゴミ捨て場に化したりとなる。
「クローズアップ現代」は片付けをサボったり、苦手だった人がいかに立ち直っていくかをレポートした。
ヨガの「断業」「捨行」「離行」
「断捨離」とはヨガの「断業」「捨行」「離行」という考え方を応用、不要なモノを断ち、捨てることだ。様々な物への固執や執着を断って、身軽で快適な生活を手に入れようという考え方。10年ほど前に金沢市の主婦が提唱し、ブログを通して広がったという。「断捨離」ブームが問いか――。
最初に登場したのは東京・近郊に住む専業主婦の梅原知佳子さん。寝室にするはずだった7畳の部屋には、床が見えないほどの物が積み上げられ、よくぞここまで買い集めたものだと呆れるほどのありさまだ。この部屋は子供からは魔界の部屋と呼ばれ、それが原因で夫婦喧嘩も起きていた。梅原さんは「何度か整理をしようと思ったができなかった。結局、逃げてしまった。見ないようにして放って置いた」とふり返る。しかし、断捨離のセミナーに参加して心機一転。翌日から魔界の部屋の整理を始め、19袋ものゴミを出した。
ゲストの宗教学者・釈徹宗はこう解説する。
「断捨離とは身辺の整理を通じて、自分を整えること。現代は自分から求めなくても、色々な物や情報がまとわりついてくる。いらない物は捨てるという行為を通じて、心の整理をするというのが現代人の知恵だと思う」