「胎児エコー検査」突然の異常告知―困惑する妊婦 配慮足りない医師

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   お腹のなかの赤ちゃんの様子を見るエコー検査は、この10年ほどの間に飛躍的な進歩を遂げた。解像度が大幅に向上し、病気や異常をいちはやく発見できるようになった。妊娠中や出産直後から治療を行えるため、「助からない患者さんを助けたり、よりよく助けることができる。メリットは強調してもしすぎることはない」(医師)。

   しかし、エコー検査はもはや実質的な「出生前診断」であるのに、あまりに当たり前にカジュアルに行われすぎていないか――と「クローズアップ現代」は問いかける。進歩した技術とそれを使う医師と検査を受ける妊婦らの間に知識や意識のギャップがあり、気軽に受けていた検査で突然、胎児の深刻な異常を医師から告げられてひどく衝撃を受け、どうしたらいいのかと悩むケースが少なくないらしい。

いきなり「どうするか考えてください」

   番組が取材した茨城県の女性は、4年前に2人目の子どもを妊娠した。検診のたびにエコー検査を受けていたが、それで胎児の病気が細くわかるということは知らず、心の準備ができてなかった。妊娠6か月のとき、エコーの結果、胎児の脳や消化器に疾患があることを知らされ、大きなショックを受けた。

「天国から地獄に突き落とされたような、全身の血が凍るような感覚だった」

   その後、心臓や中枢神経に重い障害があり、死産の可能性も少なくないことがわかったとという。

「母親としての赤ちゃんを守り抜くつとめと、赤ちゃんがお腹のなかで苦しんでるのではないか、その状況が続くことが赤ちゃんに幸せなのかとの思い、両方が行ったり来たりしていた」

   この女性は悩んだ末、中絶した。「娘の命を信じて、最後までお腹のなかで一緒にいさせてあげればよかったんじゃないか」との思いをいまでも引きずっている。

   この女性と同じように、エコー検査の結果に悩み、中絶をした女性が多く集まる会員約600人のグループがある。その交流会では、医師の告知の仕方が「妊婦への配慮に欠けている」との意見が多く出るという。

「『今後どうするか考えてください』と急に言われ、なんの説明もないし、どうしていいかもわからない」「子どもに異常があったと言われて傷ついたし、妊婦の思いを受け止めて、かける言葉も変えてほしい」

   グループの代表は「(医師から)突き放されたと感じ、どうしていいかわからないという両親、お母さんが多い」と話す。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2010年11月14日放送「胎児エコー検査 進歩の波紋」)

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