<ETVワイド「笑っていいかも!? バラエティー番組からバリアフリーを考える」(NHK教育2010年12月4日夜8時)>前にもここで取り上げたことがあるんですけど、NHK教育が金曜夜に放送している「障害者の障害者による障害者のためのバラエティー「バリバラ」の2時間スペシャルです。番組キャッチコピーは「障害者のための」となっていますが、実際は障害者が演じる健常者も見るバラエティーという内容になってるのね。2時間はちょっと長すぎたけど、大いに笑わせてもらいましたよ。でも、見終わってからひとつ気がかりな点が残りました。
ありがちの「SHOW-1」「運動会」「ドッキリ」
障害者が「笑われるのではなく笑わせる」という発想は、画期的というか、まことに革命的ですよね。大げさに言うと、いまテレビ界でもっとも突出している番組のひとつかもしれません。
この日の放送はスペシャルということで、レギュラーのほかに40人の障害者やカンニング竹山、松野明美松村邦洋らのタレントも参加して、お笑いパフォーマンスのナンバー1を決める「SHOW-1グランプリ」、パン食い競争や障害物競走などの「バリアフリー運動会」、「障害者のドッキリ」、コント、漫才、落語と盛りだくさんでした。
日ごろはNHK教育で地味にやっている番組が、まあ、賛否がうるさいことも多いと思われるなかで、ここまでよくきたなあ、がんばったなあといささか感慨深いものがありました。
内容としては、漫才などは面白かったのですが、それぞれのコーナーについていえば、普段のキレやトゲがなかった印象ですね。
気がかりな点というのは、大運動会もドッキリも民放の普通のバラエティーのネタだということ。意地悪な言い方をすると、民放風バラエティーを障害者がやって見せたという構成になってしまっていた。やはり、この番組の魅力は身障者の側からの発想のゲーム・競技、お笑いじゃないと意味はないんじゃないでしょうか。
革命的というのは、「身障者が笑われるのではなく笑わせる」という視点の逆転だけでなく、もう行き詰ってしまっている他のバラエティー番組にはない笑い、ネタ、構成で、まったく新しい番組を作っていくということでもあると思うんです。そこに毎回、毎回立ち戻って制作し続けるということが課題になってきたな、見終わってそんな感想をもちました。しんどいことではあるけれど、そこを油断すると、テレビ番組というのはすぐさび付いちゃうんです。
常識の 枠から飛び出せ 障害者