「もう延命はいいから…」家族との時間を選択した18歳少女

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   医療技術の進歩で、不自由なからだながらも命を引き延ばすことができる時代を迎えている。そんな中で一人の少女が「これ以上の延命はしなくていいよ」と最先端の医療を拒み、9月中旬に18歳の短い生涯を閉じた。

   「クローズアップ現代」が「ありのままの姿を記録していいよ」という少女の承諾を得て、今年5月から黄泉の国へ旅立つまでの少女を映像に記録した。その記録をもとに、「延命」が患者の「生」を豊かにしているのかどうか、命を引き延ばすことをどう考えればいいかを取り上げた。

両親と暮らしたい。もっと甘えたい

   2度にわたる難病との闘いで、「もう十分頑張ったから」と延命を拒んでからも、ずっと笑顔を絶やさない明るい少女だったようだ。田嶋華子。父・喜八郎と母・早苗の一人娘として心臓に重い病気を抱えて生まれた。8歳の時、ドイツで心臓移植の手術を受けたが、背骨が曲がる難病のため呼吸ができなくなり、15歳で今度は人工呼吸器。声を失った。

   この時から「家で家族と暮らしたい」というたっての願いで、千葉県船橋市の自宅で親子3人水入らずの生活が始まった。両親や訪問診療に訪れる主治医の前田浩利医師との会話は、携帯電話のメール、手書きのボード、そして表情豊かな笑顔。これで十分だった。ところが、同時に華子が訴えたのは「次に何かあったら延命しなくていいから…」だった。

   15歳の華子が、幼心にこの時何を考えていたのか。心臓移植、人工呼吸器、さらに何か起きれば両親の負担が増える。いつまで大好きな両親と暮らし、甘えられるだろうか。そんな将来への不安を考えたのだろうか…。

   それから3年がたった。番組スタッフが「怖くない?」と彼女の胸の内を聞くと、次のような答えが返ってきた。

「終わりだけど終わりじゃない。心があるから怖くないんです」

   さらに「家族とゆっくり過ごすことがどんな時間よりも大好き」だとも話す。

   今年6月、華子のからだに恐れていた事態が訪れた。人工透析を受けないと命にかかわる腎不全の発症だった。医師の説明を聞いた華子はあらためて「延命は入らない」と告げた。

「病院に行ったら薬の方もつらいし、病院にいるのもつらいから、家族3人で暮らす決意をしました」

   延命治療より家族との時間を選択した瞬間だった。

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