「このたびのことは、日頃の自分のおごりが招いたことだと思います…」
殴られて全治2か月の大けがを負った歌舞伎役者の市川海老蔵(33)が7日(2010年12月)に退院し、午後9時から記者会見を行った。「スパモニ」も大きく取り上げたが、海老蔵は加害者の疑いがあるのではというリポーターと、法律上は海老蔵はあくまで被害者とするコメンテーターの法律家。2つの筋立てが錯綜した。
会見場に現れた海老蔵は左目が充血し、わずかに左頬に腫れが残るが、元の顔にほぼ戻った感じだ。
「両親に言葉では表現できませんが、親不孝をしたと感じています。妻には、ただただ申し訳なく、どのように謝っても謝りきれないと思っています」
こう切り出した海老蔵だが、質問が暴力事件に及ぶと、相手に暴力を振るった疑いについて「一切ありません」。元暴走族リーダーやグループのメンバーとは知り合いではなかったのかという疑問にも、「知り合いではありません。どなたも面識はありませんでした」
伝聞を中心にした記者の質問に対し、終始一貫して事件後に警察に話した内容通りの答えを繰り返した。
相手側の言い分は伝聞
スタジオでは謝る海老蔵に次のような疑問が出た。
「晩に家を出たこと以外は、反省することは全くなかった。自分は被害者なんだと。被害者の人がなぜ深々と頭を下げて、こんなに謝らなければならないのか、非常に違和感を感じるのですが…」
リポーターとしては、自分の落ち度を真っ向否定する海老蔵に対し、加害者としての疑惑が消えないのだろう。
これに対し、コメンテーターの元検事、大澤孝征弁護士が次のような法律上の見方を展開した。
「証拠上たしかなことは、海老蔵さんが暴行を受け重傷を負ったこと。警察に診断書が提出され、被害届も出ており、確かな証拠がある。
しかし、相手側の言い分を伝える報道はほとんどが伝聞。伝聞証拠の価値は低い。しかも、相手側はいまだに警察に出頭してきていないし、説明もしていない。現段階では海老蔵さんの言い分を信用せざるを得ない。
裁判員裁判の裁判員になるかもしれないので、テレビを見ている皆さんも是非そういう見方をしていただきたい」
警察の捜査がもたもたしているので、真相は相変わらず藪の中だが、大澤弁護士の話は話題つくりで先走るテレビ界への警鐘と受け止めたい。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト