内部告発サイト「ウィキリークス」の米外交情報25万件の公開がきのう(日本時間2010年11月29日)から始まった。外交の一線から国務省へ送られた報告や国務省からの指令などで、初日は300件だったが、これだけでもオバマ政権への打撃は深刻だ。尖閣ビデオの流出とはケタが違う。
サウジ国王「イラン攻撃やってくれ」
流出文書の中でいちばん素人受けするのが、米政府が各国首脳をどう見ているかだろう。
☆ロシアのプーチン首相とメドベージェフ大統領の関係「バットマンとロビン」
☆ドイツのメルケル首相「めったに創造性を発揮しない」
☆イタリアのベルルスコーニ首相「軽率でうぬぼれ屋で無能」
☆北朝鮮・金正日総書記「肉のたるんだ老人」
☆アフガンのカルザイ大統領「被害妄想にかられている」
☆フランスのサルコジ大統領「怒りっぽく独裁主義的」
☆リビアのカダフィ大佐「女性看護師なしでは旅行もできない」
外交機密では、「米韓が北朝鮮崩壊後のシナリオを検討している」「イランが北朝鮮からミサイル19基を獲得」「サウジ国王が米国にイラン攻撃を何度も促した」など。また、国連関係者の個人情報を探るようにとの、クリントン国務長官名の指示もあった。
この公表に先だって、クリントン長官は各国に釈明していた。長官はまた「公表は人々の命を危険にさらし、米国の努力をムダにする」とウィキリークスを激しく非難している。
これからまだまだ暴露
ウィキリークスが注目されたのは、2007年7月にバグダッドで米兵がジャーナリストらをあやまって殺害した映像が流れたこと。他にも、アイスランドの内部情報で国がひっくり返るような騒動を引き起こしたりしている。
創始者のジュリアン・アサンジ氏は「幸運なことに米政府内に善良な人がいる。そういう人たちが資料を渡してくれる」と語っている。
いまのところ、これらを流したのはバグダッドの映像漏洩で逮捕された陸軍上等兵のブラッドリー・マニングとされているが、彼が情報を見ることができたのは、「9.11」以後、国務省情報を各省が共有できるようにしたためといわれている。テロ対策のための措置がとんだ効果を発揮してしまったというわけだ。
司会の小倉智昭「出ちゃいけないものが出ちゃったわけでしょう」
ニューズウィーク日本版編集長の竹田圭吾は「まだ数%でたいしたものはない。各国首脳の評価もみんなが思ってること。ただ、相手の国が隠していることが出てくると問題」という。サウジの話などはそれにあたるのかもしれない。
キャスターの笠井信輔は「暗号の問題でもある」と言ったが、そんなレベルではあるまい。
竹田はさらに、「情報は電子化されているので止めようがない。暴露されるのを前提にしてやっていかないといけない」という。