<くらべるくらべらー(TBS系水曜夜9時)>世の中のあらゆる事をくらべ尽くします―というのがサブタイトルで、何でもかんでも比べて自分の暮らしが日本全体の中でどのへんにあるのか、世界と比べて日本はいまどうなのかを探ってみようというわけです。世の中、上から下まで何がどうなってるのかさっぱりわからず、行く末も見えないという時代に、まずまずマッチした企画だと思いますね。タイトルも堅苦しくなくて好感が持てます。
にしてもです。詰め込みすぎでそれぞれのテーマが消化不良、せわしなくてどこが面白いのか気が付く前にどんどん先に行っちゃうんです。せっかく志村けんをMCに起用しながら生かしきれていません。
中山秀征も「では、次は…」ばっかり
とにかくいっぱい出てきます。11月10日(2010年)の放送は初回スペシャルということで約2時間。AKB48と韓国のKARAの違いを取り上げたと思ったら、菅首相とオバマ大統領の年収、世界と日本の家電の違いと飛んで、ああそうなのって思っていると、今度は海外の高視聴率番組紹介、世界の新聞と比べて日本の新聞のテレビ欄がいかに充実しているかといった具合にとっちらかします。
初回だから張り切りすぎたのかなと思っていましたが、翌週の通常版でも忙しかったです。1000人アンケートというのがあって1か月の電気料金を比較するのですが、ちなみに平均は9617円、パネラーたちが自分の料金だと1000人中何位かとやって、親孝行比べに移り、さらにパチンコ玉やクリップ製造機の早業比べと矢継ぎ早です。たとえば、なんで電気料金の平均が9617円になるのかといった解説もないまま、次から次へと移ってしまうんです。
てんこ盛りの中身を消化するのに忙しくて、進行役の中山秀征もいつもの軽妙なおしゃべりをする余裕がなく、「では、次は」なんてことしか言わない。志村けんも話を振ったり振られたりしても、2、3回やり取りして苦笑するだけで笑いにならない。まあ、志村を使いながらしっかり生かそうとしないところが、バラエティー音痴といいますか、逆の意味ですごいなあと思いましたよ。
これは、制作サイドが中身や話題に面白いものを並べれば受けると思っているからなのね。だから、「これはどうだ!」「次はこれだ!」と次々に繰り出してくるんですよ。
この番組は面白くなる要素はあるのだから、進行をもっとゆっくり落ち着いてやって、比べても仕方ないようなものは捨てちゃって、要所要所で志村や中山に笑いを取らせればいいんですよ。宝の持ち腐れもいいところで、作ってる方が宝に気づいていないところが致命的です。
比べてる 比べようもない くだらなさ