裁判員裁判「死刑判決」―裁判長「控訴勧める」の意味深長

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   裁判員裁判で初の死刑判決が出た。金を奪って2人を殺害、死体をバラバラにして横浜港に遺棄。それも生きたまま電動ノコで切断という残虐な犯行で、きのう(2010年11月16日) 横浜地裁が出した結論だ。

裁判員の意見割れた?

   判決文を読み上げたあと、裁判長は「控訴することを勧める」と異例の言葉を付け加えた。みんな驚いた。被告の弁護士は「(死刑判決を出しておいて)控訴とはよくわからない」。「裁判員の意見が分かれたのではないか」と見る人もいる。

   司会の小倉智昭「あれっと思った人も多いんじゃないか」

   弁護士の安冨潔も「驚きました。裁判員への配慮だろう」と言う。裁判を傍聴した大村正樹アナは「あのひと言でホッとした」と話す。死刑判決を何度か見てきたという大村はこう続けた。

「これまでにない雰囲気でしたね。裁判員の苦悩の表情が目の前にある。残虐な事件だが、判決理由聞く被告の姿に涙を流す裁判員もいました」

    主文を後回しということは極刑とわかる。40分間の朗読の間、背筋を伸ばし身じろぎもせず聞き入る被告。そして、裁判長が「死刑に処する」と告げたあと、被告は裁判長に向かって「ありがとうございました」と頭を下げ、回れ右をして被害者遺族にも「申しわけございませんでした」と頭を下げた。これで法廷は凍り付いた。大村は「意外でした」と言う。

   さらに意外だったのが、裁判長が「裁判所としては、控訴することをお勧めします」と付言したこと。大村は「これで裁判員は救われたんじゃないか」と感慨深げだ。

   人間ひとりを死刑にする。裁判員にとってそのストレスは相当なものだろう。「とくダネ!」はアメリカの陪審員の例なんかも引いていたが、ある臨床心理士は「せめて全員一致の結論だったら心が楽になるだろう」と話していた。それはわかる。

   しかし、安冨は「一般の人の感覚を反映させるのが裁判員裁判の主旨だから、裁判員が死刑を結論したのに、裁判長が控訴をというのはどうかなと思う」と批判的だ。

   高木美保(女優)「死刑を出したことに罪悪感みたいなものが残ってしまって、それを見た裁判官が言葉 にしたのでは?」

   大村「わたしもそう思った。あれは裁判員に向けていたような…」

   新聞・テレビも「心の負担が」と繰り返すが、言い過ぎなのではないか。かえってプレッシャーをかけてしまう。「思うように量刑を出していいのですよ」と言ってやるべきである。目の前の弱々しい被告の表情に負けて、心の負担なんていっていたら、生きたまま首を切り落とされた方は浮かばれない。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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