横浜地裁で16日(2010年11月)、裁判員裁判で初めての死刑判決があった。裁判長は主文を述べた後で「裁判所として被告に控訴を勧めたい」という異例の発言をして、話題になっている。
「朝ズバッ!」は死刑判決と矛盾するような控訴を勧めた裁判長の意図はなにかを取り上げた。
死刑判決を下されたのは、東京歌舞伎町で昨年2月と6月にマージャン店経営者ら2人を生きたまま電動のこぎりで切断、殺害した罪で死刑が求刑されていた池田容文被告(32)。
裁判長は判決理由のなかで、「あまりにも残虐で、…更生の余地があると見られるが、極刑回避の事情とは評価できない」と述べている。裁判員の一人も「気が重くて毎日が大変だった」という。
「反対しても決まってしまう」裁判員の不安
控訴を勧めた裁判長の意図について、元東京高裁判事で法政大学法科大学院教授の木谷明は次のように話した。
「究極の刑罰の決断を裁判員がするのは大変なストレスになる。裁判長が裁判員の重い気持ちの負担を少しでも軽くさせようと思って言った可能性がないとはいえない。また、裁判員の中から、間違いがあるかもしれないので上で判断してもらうよう希望が出たということもあるかもしれない」
スタジオでは、コメンテーターで元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がさらに詳しく解説した。
「2つの意味があると思う。一つは裁判員の心の負担の軽減。これまで裁判官がやってきた死刑判決の際にも、同じように控訴を勧めるケースはあった。裁判官でさえ死刑が確定することに躊躇する。いわんや市民の裁判員は非常に重荷になり、高裁で確定したことにすれば少しは負担が軽くなる。
もう一つは、違う目でもう1度、慎重な判断を求めてもらおうという考え。この2つで控訴を勧めたと思う」
いずれも裁判長発言に好意的な見方をしている。
では、裁判員制度を今後のどうするのかについてはこんな意見が出た。
若狭「一般市民の裁判員が死刑判決に関与することがいいのか悪いのか、議論する時期に来ていると思う」
木谷「死刑については『全員一致』にするよう法律を変えるということは考えられる。そうすれば自分は反対だったけれども、ムリヤリ死刑判決に加わされたということはなくなる」
文
モンブラン