EU10年前から商業用実験
にわかに注目されてきた放射性廃棄物のトリウム。これを原発の燃料に使う研究が世界各国で始まっている。ただ、核分裂を起こさないトリウムだけでは、ウランやプルトニウムの核分裂を利用する現在の原発では燃料として使えない。
EU(欧州連合)の原子力研究機関である「超ウラン元素研究所」は、プルトニウムにトリウムを混ぜて燃料にする商業用原発の実験に10年前から取り組んできた。ロンディネーラ所長は「これまでの実験の結果、従来のウラン燃料に比べて遜色ない。トリウムは有望と考えている」という。
アメリカもグリーンニューディール政策を進めるオバマ政権の支援で、トリウムを資源として活用する動きが活発化している。バージニア州にあるライトブリッジャー社の研究で、ウランとトリウムを組み合わせることで、ウランが燃焼したときに出るプルトニウムの量が従来の半分になることが分かった。
しかし、平沼は否定的だ。
「いろいろ研究が進められているが、既存のウラン、プルトニウムに比べメリットがあるのか、コストが合うのか、技術的課題をクリアできるのか、全く未知数。すぐ使えてハッピーという単純なものでない」
原発依存が高い日本は、それでもトリウムの有効活用に取り組む必要があるのではないか。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2010年11月10日放送「放射性物質『トリウム』最前線」)文
モンブラン