米国の都会あたりで暮らすカネのない人は、きっと「シェア」(共有)という言葉になじみが深いはずだ。ビッグな食べ物を友人とシェアして、乗り物もシェア、住居もシェア。日本では、このごろ動画をシェアする人が爆発的に増えたが、こと住まいのシェアとなると――誰か他人が運営する「下宿」的な物件はあるにしろ――そう流行ってないようだ。
それにしても、米国の学生などになぜ住居を「シェア」する人が多いのか。さまざまな理由があるだろうが、単に経済的だからという人も少なくない。また、シェアにあたっては、ルームメイトとはつかず離れず、お互いあまり干渉しないほうがうまくいくといった考え方はありがちである。
共同で有機野菜購入みんなで食事
「クローズアップ現代」は、日本でも「シェアハウス」や「コレクティブハウス」といった共同スペースの多い住居に住もうという人が増えてきたことを取り上げた。番組がフィーチュアしたのは、それがリーズナブルだからといった理由よりは、どこにも帰属感が持てない都会のひとり暮らしに耐えかねて共同生活を選んだり、住む場所を人と共有し、交流したり助け合ったりすることに積極的な価値を見いだしている人々である。
アメリカのテレビドラマに出てきそうなのは、東京・豊島区にあるというシェアハウス。ここには、面接をクリアした20~30代の男女8人が住んでいる。キッチン、リビング、風呂、トイレが共有。共同で農家から有機野菜を購入し、週に数日、全員で食事をつくり食べるという。
「(以前は)弁当を買って、テレビを見て、インターネットして寝るという生活。ここではみなでご飯を食べて、会話が生まれる」(居住者の男性)
「互助的」なシェアハウスもある。地方出身者の女性限定で、東京での挫折やコンプレックスに負けずに励まし合うというコンセプトで運営されているシェアハウス。
「(会社で)いろいろ抱えて家に帰ってきたとき、人がいるだけで気分が違う。一人だったら、引きずったまま、翌朝、会社に行きたくないと言ってたかも」(居住者の女性)
あるシングルマザー支援の会社は、シングルマザーと高齢者が一緒に住むシェアハウスを計画中だ。