群馬県桐生市の市立小学校6年生の女児が先月23日(2010年10月)に自殺した問題で、これまで「いじめ」を否定していた学校が、きのう(8日)一転して「いじめがあった」と認めた。しかし、自殺がいじめによるものとは認めなかった。
亡くなったのは上村明子さん(当時12)。 残された作文などから、5年生のときからクラスメートのいじめにあっていた形跡があり、具体的には「ゴリラ」「くさい」などといわれ、給食もいつも1人で食べていたという。
明子さんは1学期に担任にこうしたことを訴え、暴言をはいた生徒を担任が指導したが、いっこうに変わらず、先月21日の校外学習でも「なんでこんな時だけ来るの」といわれたため、父親が訴えて担任が指導していた。その2日後、明子さんは自宅でクビをつった。
父親はいじめが原因だと学校に訴えたが、学校は「いじめがあったとは認識していない」と言っていた。その後、全校児童へのアンケートや聞き取りの結果、一部児童が心ない言葉を投げていたことがわかったとして、「いじめがあった」と認めた。
しかし、「自殺は予測できず、自殺の直接原因はわからない」と因果関係は認めなかった。校長は「いじめはあったが、因果関係はわからない」の一点張り。教育委員会の委員長も会見で、「教師にSOSを感ずる感受性が不足していたんだろうとは思うが、自殺との因果関係はない」と断言した。
必要なのはいじめる側の「研究」
司会の小倉智昭「遺書でもあればともかく、本人がいなくなっては自殺の原因はわからない」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集長)「いじめをした子はだれだ、となるのを防ぎたいんでしょう。でもフタをしたら、その子の成長も阻害することになる」
教育評論家の尾木直樹氏によると、中央教育審議会が2003年に「5年間でいじめを半減させる」という指針を出していたり、いじめが発覚すると教師の人事考課に響いたりするので、いじめの実態を表に出したくないのだという。
小倉「いつも言うんですが、いじめはなくならないと思う。解決をどう前向きにするかということだと思う」
この問題、起こるたびに学校は判で押したように同じ対応をする。担任がクラスを把握していないというのもいつものこと。「いじめる側」の研究が必要なのかもしれない。さもないと、死んだ子が浮かばれない。