ネットに流出した尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の44分版ビデオ映像。石垣海上保安部の職員が、「自分が編集したものだと思う」というところまではわかった。では、いったいだれが何のために流出させたのか。
元の映像はまだ船長逮捕前の9月7日(2010年)、巡視船から石垣海保、第11管区海上保安本部、海上保安庁へ無線で送信され、流出した映像はこれを研修用にまとめられたものだった。編集映像は石垣海保、那覇地検、福岡高、検最高検が保管しており、検察には9月10日に送られた。検察でも複数の検事がアクセスできたが、検察の内部調査では不正アクセスは確認されなかったという。となると、石垣海保の内部からか、外部の侵入ということになる。
映像の取り扱いに注意するよう馬淵国交相が指示を出したのが10月18日で、それまでは石垣海保の職員はだれでも自由に閲覧できたという。USBメモリーなどでデータを持ち出すと記録が残るが、時間が経つと特定しにくくなる。
聖学院大の作田明・客員教授は「個人犯だと思うが、黙認したり応援している人がいる可能性はある」という。
石垣海保の職員は140人 で、うち110人が現場、30人が背広組だという。映像編集は警備救難課で行われたが、流出したのは10数種類ある編集映像のひとつだった。ただ、同課のパソコンにはアクセス制限(パスワードなど)はなく、大臣の指示があるまでは映像管理はしていなかったという。
司会の小倉智昭「映像を見ると、なぜ政府はこれを公開しなかったのかと思うが、ビデオは流出してはいけないものだった」
山田吉彦・東海大教授「海保の人たちはやるせない思いで見てきたので、海保から出たのかなと思った。映像はひとつは証拠のため、もうひとつは情報公開のためで、公開が前提。だから、東京でも幹部なら見ることはできたはず」
犯人が特定されれば、公務員なら国家公務員法違反、外部なら不正アクセス禁止法違反や窃盗罪などが適用されることになる。
犯人は英雄扱い
「とくダネ!」が銀座で100人にアンケートしたところ、画像流出を「よかった」83人、「悪かった」17人だった。レポーターの大村正樹は「犯人が見つかったら、英雄視される可能性もある」と見る。街では「sengoku38」 のハンドルネームをもじった「SGK38」と書いたTシャツや帽子が売られているそうだ。
小倉「中国との関係を考えると、これは公開してよかったというのはわかるが、国家機密がこんなに簡単に出ちゃっていいのか」
夏野剛(元NTTドコモの執行役員)「最初の1か月間は国家機密じゃなかった。海保の意識も記録映像だった。これを隠していたのはどういう意図か。日本の外交として大丈夫かと心配になる」
小倉「今日発表の内閣支持率が下がってる。船長の釈放は検察がやったといい、今度は海保がという。うがった見方できないか」
夏野「戦略だったらもっと早くやらないといけない」
山田教授「情報管理と公開は一体。それを機密だとして、流出は海保のせいだとされたら、海保は泣くに泣けない」
YouTubeの映像は投稿者の「sengoku38」本人が削除していたことがわかったという。どっち にしても確信犯だ。漏れちゃったんじゃない。