内部告発サイト「ウィキリークス」次のターゲットは中国とロシア

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   アメリカ軍の機密情報40万点をインターネットに流したウィキリークスなる内部告発サイトが波紋を投げかけている。公表された情報の中には衝撃的なものが少なくない。3年前、アメリカ軍の攻撃によってイラクの民間人10数人が死亡、子ども2人が大ケガをした動画は生々しい。軍のヘリコプターから撮影した映像だ。ヘリの米兵が地上を歩くカメラマンが持つカメラをロケット砲と勘違いし、発砲したのである。また、イラク戦争の民間人犠牲者が、これまで発表された数よりはるかに多い6万6000人であることを明らかにした。

   なぜ、重大な機密が大量に流出したのか。番組はウィキリークスの実態に迫った。

世界中に1200人の協力者

   「ウィキリークスサイト」の創設者、ジュリアン・アサンジ(39)が単独インタビューに応じた。番組スタッフはアサンジの協力者と1か月余り交渉、ストックホルムでようやく彼に接触する。スウェーデンは内部告発者を保護する法律が整備され、ウィキリークスの協力者も数多いという。ウィキリークスのサーバーも、冷戦時代に核シェルターとして使われていたストックホルムの地下施設に置かれている。

   「アメリカ政府は私をスパイ容疑で告発しようとしている。追われているから大変なんだ」とアサンジは話す。オーストラリア出身で、10代のころは天才ハッカーとして名をはせ、NASAのコンピューターに侵入、システムを停止する騒ぎになったらしい。こうした経験を生かして作ったのがウィキリークスだという。ハッカー仲間だけでなく、ジャーナリスト、暗号の専門家など世界で1200人の協力者がいるそうだ。

   ウィキリークスのシステムはこうだ。ホームページに投稿された機密文書を暗号化→各国の協力者のコンピューター→ウィキリークスのサーバーへと送られる。発信元の情報は消され、内部告発者の身元はわからないようになっている。

   機密公表に力を入れる理由について、「マスコミは政府の言いなり。権力の監視役を果たしていない。だからわれわれがその穴埋めをやっている」と語る。

マスコミがやらないから我々がやっている

   機密情報にはアメリカ兵や現地協力者たちの名前も含まれる。生命を危うくする敵対行為だ、米軍の軍事作戦を妨げる脅威だと、ウィキリークスを批判する声も高まっている。米国のゲーツ国防長官は「モラルに反する犯罪行為にほかならない」と憤りを隠さない。

   しかし、アサンジはサイトをやめるつもりはない。「国家権力は都合の悪いことをさらされると言いがかりをつけて貶めようとする。公表したことで傷ついたり殺された人が1人でもいますか。もしいたとしたらアメリカ軍は発表していますよ」と強調する。

   米ジャーナリズム専門誌副代表のレム・ライダーはこう述べる。

「ウィキリークスは明確な政治的意図を持った人物が動かしている。伝える情報をどれくらい吟味しているかわからない。新しいタイプのジャーナリズムというより情報を入手するための仲介役だと考えている。一時的な現象に終わるのか、長期的に続くのか予測できない」

   ウィキリークスの次なるターゲットは中国とロシアだそうだ。期待せざるを得ない。

アレマ

NHKクローズアップ現代(2010年11月04日放送「機密告発サイト・ウィキリークスの衝撃」)

文   アレマ
姉妹サイト