無期懲役がまず評決された!? 「耳かき店員殺害事件」

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   裁判員裁判で初めて死刑が求刑された「耳かき店員殺害事件」の被告に下された判決は無期懲役だった。裁判長が読み上げた死刑回避の理由は次のような内容である――。(1)被告が犯行時、抑うつ状態であった(2)店員の祖母を殺害した犯行に計画性がない(3)初犯である(4)罪を反省している。

   4つとも後で付けられたものだろうと、コメンテーターの鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、大澤孝征(弁護士)は口を揃えた。無期懲役の選択が先で、理由が後から付けられたというのである。鳥越、大澤は従来の裁判官だけによる判断だったら、死刑判決が出た可能性が高いという点でも同じ見解。

死刑論と意見の食い違い

   鳥越は「最終的評決の結果が、多数決か全員一致かは明らかになっていない。死刑と無期で意見の食い違いがあったような気がする」と言い、「裁判員裁判はいいけど、もう少し審議の中身を公開していただけないか」と注文する。

   大澤は「裁判員の出した結論は尊重しなくてはいけないが、死刑でもよかったという感じは否めない」としながら、「裁判員の方が『従来の基準はプロの裁判官が決めた基準で、自分たちは一期一会の機会に自分の判断で決めた。そうでなければ裁判員裁判の意味がない』と述べたことばは重いですよ。裁判員裁判制度を進めた者からすると、いい意見を言われたと思う」と語った。

   その上で、大澤は「検察は控訴を考えるべき。検察の役割は、社会の中で罪に対していちばん厳しい立場をとるのが本来の職責。検察としての見識を示してもらいたい」と結んだ。

   判決言い渡し後、法廷にいた遺族は、「納得できるわけないじゃない。もう、ヤダ、ヤダ、ヤダ」と叫んだと伝えられる。この声を一生背負いつづける裁判員の心中、察してあまりある。

文   アレマ| 似顔絵 池田マコト
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