尖閣諸島沖での中国漁船の行動を記録したビデオ が1日朝(2010年11月)、衆参予算委理事に公開された。事件から1か月半以上も経ってとはおそれいる。
場所は議員会館の地下室で、むろんメディアはシャットアウト。議員たちも録画、録音、携帯一切禁止だった。内容は漁船と巡視船が衝突する前後だけを抜き出したもので、6~7分というが、このDVDを理事に手渡す横路衆院議長は「見る方の範囲も含めて取り扱いは慎重に」と言っていた代物だ。
司会の小倉智昭は「全部、あるいはメディアに公開したら問題なのか。編集の意図は何なのか、勘ぐっちゃう。日本への配慮なのか、中国への配慮なのか」
メディアとしてはこれを見た国会議員をつかまえて聞くしかない。
視聴の猪口邦子議員「不鮮明で」
「非常に鮮明で、故意に中国漁船がぶつかってきたことがよくわかる」(民主・森ゆうこ議員)、「ぶつかるシーンが明確にわかるビデオ。早く公開してもよかったのではないか」(民主・川内博史議員)
「とくダネ」の岸本哲也レポーターは、猪口邦子(自民・参)から模型を使って説明を聞いた。猪口は「2件の衝突の前後それぞれ3分、計6分を編集せずに抜き出したもので、故意の衝突であるとわかる」と説明を始めた。
まず、巡視船「よなくに」の左舷にいた漁船がカジを右に切り、「よなくに」の船尾をかするように衝突。
「動きが急だった」
次いで「みずき」に衝突したが、「不鮮明で」といいながら、「みずき」の右舷側にいた漁船が左にカジを切って、これも船尾をこするようにすり抜けたようなだったと説明した。
「そのあと、逃げようとしていた。巡視船は過剰反応をしていない」
しかし、これでは肝心の衝突がよくわからない。「みずき」の右舷についたキズの説明にもならない。
小倉が「ビデオは(広く)公開した方がいいと思いますか」と聞いたが、猪口議員は「経過がよくわかります。透明性を重視した方がいいと思います」といまひとつはっきりしない。
小倉「猪口さんにいろいろやっていただいたが、あれ(模型)で見ると、慌てて逃げるときにぶつかったのかなとも思えてしまう」
笠井信輔キャスター「各局ともこれをCGで作ったりすると思うが、ビデオを見せた方が早いんじゃないか」
その通り。政府については、事件後、ビデオを公開しないと決めたのがだれなのか。そこへ話を戻す必要もあるだろう。混乱を大きくした元凶なのだとはっきりさせた方がいい。