オバマ再選危うし!中間選挙で米議会も「ねじれ」

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   11月2日に投票が行われる米国の中間選挙で、与党民主党の劣勢が伝えられている。下院では過半数を失い、上院も共和党に迫られそうだという。原因は有権者の「オバマ離れ」。「クローズアップ現代」は2年前にあれほど熱烈に迎えられた大統領の人気が低下し、不支持が支持を上回るにいたったかをさぐった。

アメリカンドリーム信じられない若者

   一にも二にもアメリカ経済の厳しい状況が根底にあるようだ。全米の選挙の行方を占うとして、常に注目されるオハイオ州では製造業が大打撃を受け、失業率は10%を超える。共和党候補に雇用問題を攻められる民主党の現職下院議員候補は、苦戦を強いられている。7回もオハイオ入りしたオバマ大統領が「必ず経済を回復して見せます。もう1度アメリカンドリームを取り戻そうではないか」と訴えても、9ポイント差を逆転することは難しそうだ。

   不況の波は10代後半~20代前半の若者に襲いかかり、失業率は過去最悪の19.1%に達する。2年前、オバマに1票を投じたというオハイオ州立大学の学生は吐き出すように言う。

「中間選挙どころではない。アメリカンドリームなんて信じられない。仕事すら見つけることができないんだから。夢を追いかける場合ではない」

   オバマ政権も景気刺激策を打たなかったわけではない。64兆円の財政出動をしたが、目に見える効果は出ていない。勤めていた自動車部品メーカーの工場が閉鎖され、アルバイト暮らしを続ける中年男性は「とにかく仕事が見つからない」と嘆く。

白人中間層「貧乏人に税金ばらまくな」

   「チェンジ」を掲げたオバマ政権はもう一つ大きな財政出動をした。医療保険改革しちが、これがまた白人中間層から不評を買う。「貧乏人に金を分け与えてくれと政府に頼んだ覚えはない」「自分の稼いだ金を分け与えるなんて真っ平だ」というのである。

   こうした不満は「ティーパーティー」(茶会)と呼ばれる市民運動につながっていく。オバマ路線に反発する白人保守層の集会に端を発した「ティーパーティー」は全米に広がり、今や2700超の団体が活動しているとされる。彼らは「個人の自由な競争こそがアメリカ建国の精神だ。政府は貧困層のために巨額の税金を投入し社会主義的だ」と主張する。「反オバマ」で一致する共和党保守派と「ティーパーティー」が手を組むのは当然だろう。中間選挙ではオバマ政権に激しい逆風が吹くと番組は読む。

   この先、オバマ大統領は行く手を阻まれて再選も危ういのか。ゲストのトーマス・マン博士(ブルッキングス研究所)の見方は必ずしもそうではない。次のように分析する。

「1982年当時、レーガン大統領の支持率は30%半ばという苦しい状態だったが、景気が回復し、次の大統領選で地滑り的勝利して再選された。いま起きている変化は無党派層や浮動票の動きだ。彼らはそれほど政治に興味があるわけでもなく、政治動向に注意を払ってもいない。考え方は現実的で、景気が良ければ政府が正しいから任せようとし、悪ければ間違っているから排除しなければと考える。本能に従って行動する」

   「風」が共和党に吹いているということだろう。「ティーパーティー」のメンバーが聞いたら怒りそうな博士の発言は、日本に向けたコメントのように感じられた。

*NHKクローズアップ現代(2010年10月28日放送「逆風のオバマ『改革』」の行方)
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