1年以上も建設中止か続行かが棚ざらしの「八ツ場ダム」、今度は建設の根拠となる数字に疑問が出てきた。もともとは1947年のカスリーン台風で大被害が発生したのを踏まえて、ダムが計画された。説明役の所太郎リポーターによれば、この台風では死者1100人、行方不明850人、浸水戸数38万戸の被害を受けた。このため、毎秒1万7000トンの最大流量を見込んで八ツ場ダム建設に踏み切る。200年に1度の大洪水にも耐えられるといわれた。
馬淵国交相「計算根拠見つかりません」
ところが1980年になって、国交省は想定最大流量を2万2000トンに引き上げる。国会でこの問題を指摘した河野太郎衆院議員によると、「国交省の数字にねつ造疑惑があった。どういう計算をやったか調べて出してくださいと言ったら、(馬淵澄夫国交)大臣は『見つかりません』と言う。ねつ造の疑いが濃くなった」という。
コメンテータ-の鳥越俊太郎(ジャーナリスト)が、「初めに『八ツ場ダムありき』で、2万2000トンの数字が出てきた可能性がある」と指摘すると、所は「そうともとれる」
森永卓郎(経済アナリスト)は「これだけの多年事業だと1兆円クラスのプロジェクト。政治が噛んでいないことはあり得ない。まず(建設という)結論があって、その根拠を役所側が(数字で)出すということではないか。空港をつくる場合も同じ」と話す。
鳥越が「政権交代があったから、こういうのが出てくるとも言える」と口にすると、森永が「追及するのが自民党の河野議員というのも皮肉だ」と笑った。
全国いたるところに「八ツ場」ありき、なのだろう