岐阜県御嵩町で突然、3000平方メートル、テニスコート11面分もの地面が陥没して住宅が傾くという事故が起こり、レポーターの岸本哲也が現地へ飛んだ。先週のチリの鉱山事故の取材から戻ったばかりで、またまた廃鉱関連とは、まあご苦労様なこと。
御嵩町は明治の初めから戦後の1967年まで、亜炭の最大の産地として知られたところ。いまは廃鉱になっているが、地下の坑道がそのまま空洞で残っているため、陥没事故が絶えない。
町の土地の10分の1が下はトンネルだといい、年間5件あまり、過去38年間に200件以上の陥没が起きている。住民も「またや」というが、今回のような大規模なのは初めてという。
5世帯に避難勧告が出て、 家に戻れない状態になってしまった。その1人、陥没で家が歪んでしまった78歳のお年寄りは、「予想はしていたよ。(主人が生きていたら)かわいそうというやろ」と言う。
戦争中の『亜炭』採掘跡
亜炭は石炭より質が悪く、熱量が低いため製鉄など工業用には向かない。主に家庭用燃料として、とくに戦中戦後は重宝された。御嵩町は一時は全国の産出量の半分近くを出していたが、燃料事情の好転で廃れた。しかし 鉱だけは残ったというわけだ。こうした場所は全国で100か所ほどあり、03年7月の宮城地震のときにも、亜炭坑跡の崩壊が被害を大きくしたところもあったという。
御嵩町はハザードマップを作って危険地域は特定されているのだが、廃鉱を埋め戻 すには、500~1000億円という費用がかかり、町長も「本来は国の責任ではないか」という声も強く動けない状況にある。
岸本は「事故が起こって鉱害と認定されると、補償される基金もあるのだが、予防はできない仕組みになっている」という。また、危険はわかっていても、住民は「故郷で愛着がある」「引っ越す余裕がない」と住みつづけているのだという。
司会の小倉智昭「事業仕分けが始まるが、対象の特別会計のなかに、まさにこの項目があるんですよね」
福田和也(文芸評論家)「1000億円はべらぼうな額ですよね。もうちょっと合理的な解決を考えないといけないのでは」
小倉「ダムみたいに、移転してもそんなにお金はかからないかもしれない」
真鍋かをり(女優)「1000億円が100か所では、とんでもない金額になる」
小倉「戦時中に戦闘機の燃料にも使われたっていうんでしょう。忠さん、亜炭って 知ってた?」
芸能デスクの前田忠明「知らなかった。石炭の一種を行政が亜炭と呼んだんでしょ」
小倉「国が掘れ掘れといってた事業だと思うんだよね」
今に残る戦争の亡霊か。立派な木造家屋が傾いている映像が痛々しい。