チリの「奇跡の生還」熱はまだまだ続きそうだ。けさ(2010年10月15日)は32人を束ねて、「世紀の救出」に導いたリーダー、ルイス・ウルスアさん(54)を中心に話が進んだ。
現地で取材中の記者によると、ウルスアさんは地元の新聞へこんなコメントを寄せたという。
――事故が起きてから17日後の8月22日、(掘削用の)ドリルが地下に到着した日、思わずドリルに抱きつきたくなった。……心が折れてもおかしくなかった。が、リーダーとしての自覚を常に持つようにした。一部の作業員が脱出を試みたことがあって混乱したときも、仲間に必ず助けは来る、絶対に希望を失うなと言い聞かせた。
「70日間の勤務はかなりのものだった」
番組の説明によれば、ウルスアさんは生存が確認されるまでの17日間、ほかの作業員に対し、備蓄されていた食料の配分をスプーン2杯のツナ、ミルク1口、ビスケット1枚と割り当てたり、坑内のトンネルを寝室、食堂などに区切り、集団生活の規律を確立したそうだ。きわめて厳しい状況下、よく全員がパニックを起こさなかったものだと思う。
救出された後、ウルスアさんは「70日間の勤務はかなりのものだったよ」と話したらしい。余裕を感じさせる言葉だ。この「柳腰的精神力」で仲間をまとめたのだろう。
コメンテーターの長嶋一茂(巨人軍代表特別補佐)がこう話す。
「横で励まし合うことが少なくなってきている時代に、みんなで助け合えば何とかなるという、いいメッセージをくれた。感動的な救出劇だった」
今シーズン後半、苦戦したジャイアンツの姿を思い浮かべたのだろうか。
文
アレマ