「もう、チリ、チリですね」と司会の小倉智昭が切り出して始まった現地中継。きょう(2010年10月13日)はレポーターの岸本哲也の音声もよく聞こえて、現場の空気もよくわかる。心配なのは番組の放送時間との勝負だったが、やっぱり……。
「チリワインはうまい」で時間稼ぎ
岸本が立っている場所からは、救出用カプセル「フェニックス」をつり下げる黄色い鉄骨のフレームと滑車がかろうじて見えるだけだが、現場のカメラがかなり詳細に作業を見せてくれる。映像は東京でも同時に流れるから、現地レポーターは苦しい。この手の取材ではいつもこうだ。
救出作業ははじめ深夜零時(日本時間正午)からの予定だったが、早まったと伝えられ、「とくダネ!」も放送時間内に中継できるかと期待をかけたようだったが、いっこうに作業が進まない。「フェニックス」を穴に入れてしばらく下げたり、止めたり……。 「通信手段の確認でしょう」などと気をもむ。
気の短い小倉は「何でいまそれをやってるの」
日本じゃないのよ、チリですよ、チリ。
スタジオには実物大の「フェニックス」の模型。これに大村正樹アナが入って、さらに暗幕ですっぽり覆って、暗闇を再現してみせた。624メートルの深さから直径54センチの穴を通ってくるのだ。どんな心理状態になるのか。医学者は、救出されてしばらくたってからストレス障害が起こるのではないかという。しかし、地下700メートルで70日間も過ごしたという記録はないから、「医学的にも貴重なデータになる」とか。
今か今かと待つのだが、現場はチリです。いっこうに動かない。とうとう笠井信輔キャスターが、救出されたら「お金が儲かるのでは」「人によって差が出るので、プールして分けるという話もある」と時間稼ぎ。小倉にいたっては「チリってどんな国」「チリワインはうまい」と話はあらぬ方へ。
午前9時半を回ってようやく「フェニックス」が穴に入ったが、これもまだテストらしいとなって、そのうち 岸本から「午前10時から開始という情報です」と情報が入る。
小倉はあきらめて「午前10時? 私たちの番組は何やってきたんだということになります。まあ、次の番組もありますから」
そして最後、「やっぱり無理でしたね」で時間切れとなった。