きのう東京大学で、将棋好きには忘れられない1戦があった。清水市代・女流王将(41)が、情報処理学会が開発した将棋ソフト「あから2010」と対戦。史上初めてソフトが勝利したのだ。
将棋ソフトの歴史は35年になる。コンピューター将棋協会の瀧澤武信会長(58)が初めて将棋ソフトを作った人だ。1975年に小学生名人と対戦したが完敗、「5級くらいといわれた」という。以来、長い長い屈辱の日々が続いていた。
今回の「あから2010」は169台のコンピューターとつながっていて、1秒間に6000万通りの指し手を計算できる。おまけに、過去に将棋大会で勝った4つの将棋ソフトが出した選択肢から「多数決で選ぶ」という最強ソフトというふれこみだった。
開発者の松原仁・公立はこだて未来大学教授は「絶対勝つという意気込み」と自信満々だったし、瀧澤氏ら「CPが勝つ」と予想する人も多かったため、対決を見ようと詰めかけたファンは約750人にもなった。迎え撃つ日本将棋連盟は「清水さんが勝つと信じている」と静かな構え。
人間が読まない指し手
対戦は、序盤は様子見の展開だったが、開始3時間後「あから」が打った一手に会場がどよめいた。解説者も「これはびっくりですね」 人間だったら出さない読みをコンピューターが出したのだった。
清水王将の手が止まった。連盟の中川大輔八段も「驚くような手ばかり。人間が読まない手を指してくる」 そして、6時間の対局を制したのは「あから」だった。まさに歴史的瞬間。
清水王将は会見で「お互い切磋琢磨することで腕を上げていくということでしょうか」と淡々。瀧澤氏は「最終的に名人とか将棋界のトップといい勝負をすることになる」と見る。
「ハンデなしで初めて将棋ソフトが人間に勝った」と声を張り上げる笠井信輔アナを無視するように、司会の小倉智昭は「コンピューターが勝って当たり前と思うけど、人間の頭脳はそれ以上なんだ」
前田忠明(芸能レポーター)が「1秒間に6000万通りだって」
笠井「それに加えて、4つのソフトの多数決で決めた。1手考えるのに4分かかった」
いやいや、コンピューターは可能性全部を読むだけのこと。そのうちの5999万9900通りくらいは関係ないバカな手のはず。人間はそんなものはじめから考えない。
小倉は今度は中嶋朋子(女優)に「人間の頭脳はとてつもなく凄いですね」
中嶋「凄いですね。ちょっと感動しました」
笠井だけが「4人掛かり (ソフトが4つ)でようやく勝った」なんて言い続けていたが、そうじゃあるまい。 ソフト開発の後ろに何百、何千という頭脳がある。清水王将はたった1人で受けて立った。凄いことですよ。