霞が関依存抜け出せぬ議員たち
「こうした動きをどう捉えたらいいのでしょうか」
キャスターの国谷裕子の問いに、ゲストの新藤宗幸千葉大教授は次のように答える。
「2000年4月の第1次地方分権改革までは、たいした政策論議をしなくても自治体経営ができた時代が続いていた。霞が関各省の通達に依存している限り、自治体行政は可もなく不可もなく、財政的にも緊迫した状況ではなかった。
しかし時代が変わり、自治体の権限が増えて議会の予算の権限も拡大した。(議員側が)この事態をまだ理解できていないからこういう問題が起きてきたということでしょう」
国谷の「真正面から市長と議会がぶつかり合うケースがあちらこちらで起きていますね」という質問に、新藤教授は続けて次のように指摘をした。
「なぜ起きているか色々あるが、社会全体に市民の鬱積感がある。これをうまくキャッチした市長がこの時代にいたということです。当然、議会から見れば異星人を迎えたみたいに抵抗感がある。『根回ししないからだ』という伝統的な発言が出て泥沼化している」
番組に河村市長を選挙で支持した民主党議員が登場。支持者といわれる人たちを集めて旅行に連れて行く姿を映し出した。中高年の女性支持者が多いところなどは、伝統的な票集めの手法。議員は「市民が何を考えているのか積極的に意見を吸収する。これも議員の仕事だ」というのだが、こんな旅行会で地域の特性に合った具体的な政策提言などができるのだろうか。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2010年10月6日放送「市長VS議会~地方政治 現場で何が~」)