秋ドラマは話の舞台、登場人物、設定が似たようなものが2つずつ並んだ。この週末あたりから次々とスタートするが、ジャンル別にライバルドラマを紹介しよう。
【医者・医療】
☆医龍(フジテレビ系木曜)
☆獣医ドリトル(TBS系日曜)
「JIN~仁」や「チームバチスタ」のヒットで、医療ドラマはゴールデンタイムの定番のひとつになった。「医龍」はゴッドハンドの異名をもつ天才心臓外科医(坂口憲二)が数々の難手術をこなしながら、経営が悪化した病院の治療態勢を軋轢と戦いながら立て直す話だ。専門用語が次々飛び出すリアリティが見どころ。
いくら医療ものの評判がいいからといって、2番煎じ3番煎じは避けたいということなのだろうか、「獣医ドリトル」はタイトルどおり、人間を診る医者ではなく、動物を助ける医者だ。「獣医はビジネス」と言い切り、法外な治療費をふっかける通称ドリトル(小栗旬)だが、腕はたしかで、実は動物とその動物を本当に愛している飼い主には優しく、無責任な飼い主には厳しいというのが本当の顔だった。昨今の安易なペットブームに警鐘を鳴らすドラマでもある。
このほかに美容整形外科医(永井大)を主人公にした1話完結のサスペンス「FACE MAKER」(日本テレビ系木曜)も注目。
【調査官vs査察官】
☆黄金の豚―会計検査庁特別調査課(日テレ系水曜)
☆ナサケの女~国税局査察官~(テレビ朝日系木曜)
捜査権を持つ役人は警察官や検事ばかりではない。「黄金の豚」は架空の役所だが会計検査庁の調査官(篠原涼子)が税金をかすめ取る悪徳経営者、高級官僚、政治家を懲らしめる勧善懲悪ドラマ。この調査官、学歴なし、コネなしで、服役したこともある元詐欺師というのが面白い。それだけに金をめぐる人間の欲深さを熟知しているという設定だ。
米倉涼子が演じるのは国税局査察官、いわゆる「マルサの女」である。時に潜入捜査、時にコスプレで変装して脱税犯を追い詰める。武田鉄矢がオカマバーのママで情報屋。
ミステリーではないが、「モリのアサガオ」(テレビ東京系月曜)は刑務官(伊藤淳史)と死刑囚たちとの心の交流を描いたヒューマンドラマ。
【AKB48】
☆霊能力者 小田霧響子の嘘(テレ朝系日曜)
☆Q10(日テレ系土曜)
AKB48総選挙でトップを争った大島優子と前田敦子がドラマ対決。大島は「霊能者 小田霧響子」でインチキ霊能者(石原さとみ)を振り回すツンデレの女社長役、前田は「Q10」でチャーミングなロボットを演じる。いずれもコメディー。
【危険な愛】
☆流れ星(フジ系月曜)
☆セカンドバージン(NHK火曜)
フジテレビの看板ドラマ枠「月9」は上戸彩の風俗嬢と竹野内豊の水族館職員の純愛ストーリー「流れ星」だ。それぞれの打算から「契約結婚」をした二人だったが、次第に本当の愛に目覚め結ばれていく。低迷が続く「月9」の起死回生なるかも見もの。
17歳年下の妻(深田恭子)のいる男(長谷川博己)との恋に胸をときめかす45歳のバツイチ・ヒロインを鈴木京香が大人の色香たっぷりに演じる「セカンドバージン」。大石静の脚本は「大人のおとぎ話」ではなく、「だれにでもありそうな話」として描く。
【小説ドラマ化】
☆天使の代理人(フジ系月~金)
☆秘密(テレ朝系金曜)
山田宗樹の小説をドラマ化した「天使の代理人」は、高畑淳子、市毛良枝らのベテラン女優を起用したオムニバス形式の昼の連続ドラマ。高畑はノンフィクションライター、取材される市毛は助産婦で、中絶をしようとする妊婦を思いとどまらせる「天使の代理人」というわけだ。
「秘密」は映画化もされた東野圭吾の同名小説の連続ドラマ化。長野の実家に帰省途中でバス事故に遭い死亡した妻(石田ひかり)の魂が娘(志田未来)に宿ってしまうというミステリーで、戸惑う夫(佐々木蔵之介)、夫婦愛、親子愛、謎解きがスピーディーな展開で描かれる。深夜枠の放送がもったいない注目ドラマだ。=つづく=
(テレビウォッチ編集部)