今年のノーベル化学賞は根岸英一・米パデュー大特別教授(75)と鈴木章・北海道大名誉教授(80)、米デラウェア大のリチャード・ヘック名誉教授(79)に決まった。
3人の業績は「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」。金属のパラジウムを触媒に炭素同士を効率よくつなげる画期的な合成法をつくり出し、新薬開発から液晶など様々な有機化合物の製造を可能にした。
長くて暗いトンネルからなかなか抜け出せずに閉塞感が蔓延するなかで、ひとすじの光を得たような朗報。「朝ズバ!」は「祝・日本人2人がノーベル化学賞」と題し取り上げた。
「最初の2、3年研究費ゼロ」
まずは中継がつながった米インディアナ州のパデュー大前にいる根岸英一教授と司会のみのもんたとのやり取り。
みの「受賞の知らせを受けた時の感想は」
根岸「夢がようやく現実になったかなというのが実感でしょうかね。これ(ノーベル賞受賞)が目的ではなかったのですが、50年間私の頭の背後にはあったような気がします」
みの「研究で一番苦労したことは」
根岸「最初のスタート。どういうことを、どういうふうに、どう進めればいいか分からないですから。もう一つは、アメリカではうっかりすると研究費がなくなってしまう。1、2度ありましたが、ファンドがなくなると研究が続けられない。それに最初の3~4年間は1銭ももらえなかったので、あれも辛かった」
みの「日本はどうでしょう」
根岸「日本は素晴らしい一流国になっていることは間違いない。ただ、社会制度の問題は改善の余地がある」
ここで毎日新聞の青野由利論説委員が「この分野に非常に日本人は多くかかわっていて、お家芸と言われていますが」と質問すると、根岸教授は「日本にはそういう伝統があって、理化学系に向いた国民性があるのだろうと思っています」と頼もしい答えが返ってきた。