議会解散のリコールで揺れる名古屋市で、これこそ税金のムダ遣いの最たるものという話題を取り上げた。といっても、ムダ遣いの発端は今の河村市長時代でなく、17年前にさかのぼる。
どういう経緯があったのか定かでないが、市が7400万円の税金を投じて美術品を購入した。「砂漠の泉」と題した巨大な彫刻で、1991年に開かれた芸術イベントでグランプリを受賞したのを購入したという。
ところが、その大きさゆえだろうか、1度も展示されることなく名古屋国際会議場の地下駐車場に木箱に入れられ眠ったまま17年が経過した。
会場に行ってみると「ない!」
眠りから覚めたのは「朝ズバ!」の取材がキッカケ。作品にはサビが生じ、最悪の保管状態だったのを『発掘』して今年6月16日の番組で放送した。この放送の3日後、市は8月21日から開催される世界最大級の現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ2010」に出品することを決めた。
ところが、彫刻を組み立てる説明書きはなくなり、制作者も行方知れず。四苦八苦してようやく展示されたのは9月10日だった。
番組スタッフが行ってみると、係員に展示場所を聞いても分からず、会場のガイドマップやホームページにも表示がない。市の担当者によると、「17年前の作品で現代アートにふさわしくないとの声が上がり、展示品目から外した」という。
では「どこに展示を…」と探してようやくたどり着いたのはあるビルの中。暗闇の部屋に入ると、きらきら光る無数のストロボの光、音に反応して動く光の線など幻想的だ。会場に来た人も「皆に見せなきゃもったいない」「17年前、どういうつもりで買ったのですかね」
スタジオのコメンテーター、若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長)は「『砂漠の泉』という名前が象徴的ですね。砂漠にいくら水、税金を与えても吸収されどこへ消えたか分からない」と嘆く。
購入時には当然、議会の承認を得ているはず。議会解散のリコールで目標よりはるかい多い46万人を超える署名が集まったのも、こうしたムダ遣いのツケを払わされている怒りと理解したい。