サッカーのゴールキーパーがいかに報われない仕事かは、動画サイトのYouTube(ユーチューブ)を見ているだけで実感できる。スーパーセーブで再生回数ランキングに入るのはほぼ不可能なのに、珍プレーで多くの嘲笑を買うのは実に簡単だ。そして、ゴーリーは珍プレーを産み出しやすい職業ときている。
PK止めたはずがボールころころ
最近、そのことを痛いほど知らしめ(また本人も思い知ったのであろう)たのは、モロッコのプロサッカー1部FAR Rabatでプレーするハリド・アスクリ選手だ。彼は9月上旬、カップ戦のPK戦でファインセーブを見せたhttp://www.youtube.com/watch?v=LBWtXhb0nBU&NR=1――はずだった。横っ飛びでPKを止め、ゴール裏のファンに向かって何事かアピールしていた。
だが、そのときボールは完全には止まっていなかった。アスクリがパフォーマンスしている間に、ボールはころころと転がって、ゴールマウスに吸い込まれ、それはゴールと認められた。結局、チームは敗退したという。この動画はYouTubeで大反響だった。
それから約2週間後の試合中、アスクリはルーズボールをトラップして、チャージしてきた相手選手をかわそうとした。だがそれはうまくいかず、相手にスライディングシュートを決められてしまった。
今回のプレーそのものは、軽率とはいえ、珍プレーとしてはわりと平凡な、稀に目にする類のもの。ただ、次に取った行動には意外性があった。アスクリはユニフォームを脱ぎ捨てると、味方選手の制止をふりきって走り出し、フィールドを去ってしまったのだった。
試合放棄の理由について、同選手はテレビのインタビューで「サッカーはもうやらない」と涙ながらに語ったという。その後の出場状況などは、当探偵社では確認できていない。
ボンド柳生