東京第五検察審査会はきのう(2010年10月4日) 午後、民主党の小沢前幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入資金の報告書不記載について、2度目の「起訴相当」議決を発表した。議決は民主党代表選の日だったという。
前回(4月)の議決は11人の委員全員が「起訴」、今回は別の11人に代わっているが、8人以上が「起訴すべし」とした。これによって、小沢は裁判所が指定する検察官役の弁護士に起訴されることになる。
小沢にとって「強制起訴」はもちろん手痛いが、民主党も厳しい対応を迫られる。「離党勧告」という筋論の一方で、「もしシロだったら、責任をとれるか」(原口前総務相)という声もある。菅首相も仙谷官房長官も明確なコメントを避けた。
「ど素人の判断」「いや、常識的な市民感覚」
今回の議決に疑問がないわけではない。検察審査会そのものになじみが薄いし、プロの検察官が不起訴にしたものを一般人が起訴してどうなるのかという問題もある。キャスターの小倉智昭も「これは何ぞや」という。
大村正樹レポーターが審査会の仕組みを解説した。今回は男5人、女6人で構成され、平均年齢は30.9歳。「ものすごく若い。中野(美奈子アナ)さんが11人いるような、あるいはプロ野球の一軍選手とか」 プロの間では「ど素人が」という声もある。
元東京地検検事の若狭勝弁護士は、検察官と検察審査会は存在意味が違うと言う。
「検察は有罪の確信が持てる事件だけを起訴する。検察審査会は有罪か無罪かを裁判で明らかにしようというもの。今回、審査員は小沢さんは有罪の確率が高いと見た」
議決の理由は「検察の再捜査は形式的の域を出ておらず、十分に行われたとはいいがたい」と厳しい。また、土地購入資金4億円を自己資金といいながら、銀行から借金をしている。「著しく不合理で信用できない」としている。まあ、常識的な市民感覚だろう。
小倉「プロが断念したものを、民意でどこまで突っ込めるのか」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集長)「法律の素人に任せるのはどうかと思う。検察審査会が暴走しているのではないか」
小倉も竹田もわかってない。どうも裁判員とイメージがだぶっているらしい。検察審査会は裁判にかけてシロクロつけるべきだという意見を出したのであって、起訴する役も別の人。裁くのはあくまで裁判官だ。
疑問に答えようとしない小沢の口から答えを聞くだけでも意味がある。