赤江珠緒キャスターが開口一番、「北朝鮮から重大ニュースです」と伝える。朝鮮中央通信がきょう(2010年9月28日)深夜の1時過ぎ、金正日総書記の三男ジョンウン氏の名前を伝えたという。この名前が公式に明らかにされたのは初めて。金王朝の継承が本格的に始まったということだろう。
きのうは、人気のない平壌駅に列車が滑り込むと、労働党代表者会に出席する地方の代表がどっと降り立ち、駅のコンコースいっぱいに並んで歩く異様な光景を見せられたばかり。代表者会のクライマックスはジョンウンがどんな形で現れるかだ。
早くから「後継は三男」といわれながら、現在27歳、スイス留学経験ありという以外にほとんど何もわからないナゾの人物。写真も留学中の少年時代のものだけで、それも「ジョンウンと見られる人物」という注釈が付く。
昨年2月から国内キャンペーン
深夜の発表は、「ジョンウン氏ら6人に大将の称号を贈る」というもの。名前が出たことで、代表者会で労働党の中枢に選出される、つまりは後継が確実になったという見方が強まった。
同時に大将に指名されたなかに、金総書記の実妹の金慶喜も含まれている。彼女の夫は実質ナンバー2といわれる張成沢氏だ。これらから専門家は「先軍政治をシビリアンコントロール下に置き、ジョンウンの周囲を固める体制」と見る。
テレビ朝日ソウル支局の柳井隆史は、韓国では「ジョンウン氏を中心とした後継体制が固まる」とみているが、党の中央委員にはなってもその上の常務委員にはならず、公に顔も見せないのではないか、お披露目は2012年との観測もあると伝えた。
逆に、顔を見せるれば父親よりはるかに若くして後継指名になるわけで、総書記の健康など差し迫った事情が隠されている可能性がある。
高村智庸レポーターが、昨年2月から北朝鮮の小学生が歌っている「パルコルム(歩み)」という歌を紹介した。
「わが大将の足音 2月の偉業を受け継いで前へ タッタッタ」
わが大将とはジョンウンのことで、2月は金正日が生まれた月。つまり昨年はじめからジョンウン後継のキャンペーンは始まっていたと高村はいう。
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「金日成から金正日への継承には時間をかけた。今回はいきなりというのは、 総書記の健康状態が切迫しているからではないか」
若一光司(作家)「軍の中で離反が増えて、脱北も多いと聞く。そういうこともあるのかもしれない。親子孫と3代続く異常さを認識しておかないといけない」