尖閣諸島の体当たり漁船の船長をめぐる中国の強硬な姿勢には驚くばかりだ。船長が釈放されたあとも、謝罪と倍賞を要求したり、尖閣海域に監視船を出動させたり、フジタ社員の拘束を続けたり、通関検査の強化したりと、嫌がらせが続く。きょう(2010年9月28日)の「教えて」コーナーは、中国がなぜこんな幼稚なことをするのか、その背景を考えた。
国内問題に転化恐れる政府
中国に詳しいジャーナリスト富坂聡が細かく解説した。
「中国の貿易依存度は日本よりも高いですから、やがては自分にはね返ってくる。いまはちょっとヒステリックにやってる」
5月に来日したときの温家宝首相は、野球をやってみせたり、太極拳をしたり、東シナ海のガス田共同開発話をしたり、まあニコニコ顔だった。それが、先の国連では「即時無条件の船長釈放を要求する」「主権や領土保全で中国は屈したり妥協はしない」とまるで別人だった。
「個人が変わったのではなく、国全体が変わった。中国では、公式発言は役人が書いたものに40個くらいの印が押された文書として出てきて、その通りをしゃべる。共産党はアドリブに弱いですから」
また、反日ムードの高まりという点では、5月と9月が関係しているという。5月は1919年5月4日の「五・四運動」、9月は1931年9月18日の柳条湖事件が起きていて、これらを記念していまもさまざまな催しがある。尖閣での船長の拘留延長決定が9月19日だった。
「それに重なった」(富坂)
若一光司(作家)「中国の地方に反政府運動の高まりがあるので、怒りを日本に向けたという見方はどうですか」
富坂「日本をきっかけに騒ぎ始めても、結局はたくさんある身近な怒りに転嫁してしまう。むしろ(政府は)それを恐れている。人が集まって騒ぐことが嫌なんですね」
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「デモやってる人たちは?」
富坂「こういうときは必ずいる学生が、今回はまったくいないですね。これは重要なことです。学生は大量動員力がありますから」
赤江珠緒キャスター「フジタの社員も問題は?」
富坂「知らずに入ってしまうこともあると思う。しかし、捕まえてやろうと思えばいつでもできるので、これは明らかに報復措置です」
小木逸平アナ「では、どうすべきか」
富坂「共通言語がないので、無用なところでヒートアップしたりがある。主権の問題と商業的なものを区別しないといけない」
時間がかかるというのが結論だった。