「尖閣諸島衝突事件」を引き起こした中国人船長の唐突な釈放には驚かされた。那覇地検は日中関係への影響を考慮したためと発表し、仙谷官房長官は地検の判断を了とするとした。が、若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長)は番組でこう述べる。
「検察が独自に釈放の決定をしたというのであれば、99%ウソ。船長の勾留が10日間延長された時点で、検察としては最終的なところまで期限をきちんと使って捜査をするつもりだったはず。釈放するまでの4、5日の間にいろんな動きが水面下であったのではないか」
周恩来・鄧小平は「日本支配」容認
船長は地元に凱旋し、また尖閣諸島の漁に行くと話しているようだ。一方、あちらの軍事施設を撮影したとして拘束されたフジタの4人は解放のメドが立たないという。中国は強硬姿勢を崩していないのだ。こうなると、なぜ釈放したのか、その意図が見えなくなる。
問題解決のために日本政府はどうすべきか、MCみのもんたが問いかけると、スタジオゲストの田畑光永(ジャーナリスト、JNN「報道特集」キャスター)は次のように語った――尖閣諸島をめぐっては過去にも日中はぶつかっている。1972年の田中角栄・周恩来会談の際には、周さんが「交渉回避」と言った。また、1978年には鄧小平さんが日本記者クラブの会見で「棚上げ論」を提案した。日本の支配継続を容認したといえる。だから、日本政府は「領土問題は存在しない」の一点張りでなく、中国側が周・鄧発言を取り消すのか、取り消すならどういう理由なのか、取り消した後どうするのか、正面から質すべきだ――。
民主党政権は「透明性」とか「国民目線」とか耳障りのいい言葉を吐く割に、やっていることはズレテいる。「有言実行内閣」のキャッチフレーズが泣くというものだ。