このところ続いている「環境シリーズ」、きょう(15日)はスズメのお話だ。「最後にスズメのさえずりを聞いたのはいつですか?」と聞かれて、みなあらためて気づく。「そういえば、見ないね」
そう、スズメが激減している。東京・目黒区にある「スズメのお宿公園」。昔は「空が暗くなるほどいて、てづかみにできた」というのが、いまは「いませんね」。
20年で半減
日本野鳥の会が日比谷公園で数えてみた。300羽くらいと見込んでいたのに、見つかったのは98羽だった。街の声をきいても「見ないね」「減ったね、ホントに」。
統計では、スズメによる農作物の被害面積と駆除のための捕獲数は、ともにこの20年で10分の1になった。研究者も、スズメの数はこの20年で半減したという。では60年では8分の1になるのか? 「なかなか見かけない鳥になってしまうかもしれない」
スズメはもともと森の鳥ではない。人の暮らしの周りにいる鳥。しかし、春から夏にかけての子育てに必要なものは虫だ。日に300回くらいヒナにエサを与えないといけない。町中で緑地が減れば、虫も減る。これが原因だと、専門家はいう。「スズメのお宿公園」も、昔は周囲に田園があった。
まだある。瓦屋根の瓦の隙間は、格好の巣作りの場所だったのだが、いま瓦屋根には、スズメの侵入を防ぐ「スズメ返し板金」がはまっている。屋根の腐敗や鳥アレルギー防止のためだが、スズメは完全に閉め出された。
千葉で無農薬の稲作をしている農家に聞くと、稲を食べるスズメは害鳥ではあるが、虫も食べてくれる。「少し稲をわけてやってもいいかな」と、まことに自然な答えだった。稲ムラにたかる沢山のスズメの映像がなつかしい。しかし、やはり減りつつあるという。
東京・瑞穂町では、「スズメのお宿プロジェクト」を始めた。職員手作りの巣箱を20か所に据え付けてみたら、スズメが営巣して、巣立ちも確認されたそうだ。しかし、箱を確認したところ、かえらなかった卵がいくつかみつかった。
専門家は、「スズメが巣作りをしている時期には、虫が必要。この期間は、殺虫剤の使用を控えるだけで、大いに違う」というのだが……。
落合恵子が「スズメの学校というけど、環境問題を考えるときは、スズメが学校なんです。『沈黙の春』を書いたレイチェル・カーソンも、庭に鳥が来なくなった、と気づいたところから、研究を始めている」
赤江珠緒「人間がきっちりと生活することで、排除してしまっていた」
小木逸平「もっと繁殖力が強いのかと、勝手に思っていた」
森永卓郎「カラスは減らないけど、スズメはいなくなってる」
赤江「ムクドリなんかも多いですけどね。スズメは生む卵の数も減っているとか」
あらためて、見回してみよう。気づいたら何かできるかもしれない。