『保護責任者遺棄致死』の罪は妥当か、7回にわたり行われた元俳優の押尾学被告(32)に対する東京地裁の裁判員裁判。
結審を迎えた14日、押尾被告は最終陳述で「私は見殺しにするようなことは絶対にしていません。そういう人間ではありません」と訴えたという。
懲役6年求刑
確かに最初は蘇生に懸命だったことは想像できる。しかしそれは薬物使用の発覚を恐れてのことで、蘇生が無理とわかると119番通報せずに見殺しにしたことも否定できないように思える。
結局、検察側は論告で「自己保身のために女性を見殺しにするなど極めて悪質と言わざるを得ない」として、懲役6年を求刑した。
その押尾被告の『自己保身』という心の持ち方が判決のポイントになるのだろう。
スタジオでは、内科医のおおたわ史絵が「一般的な裁判で『致死』を実証するのは大変難しい。医学的にも必ず救命し得たとは言えない。しかし、たとえ心臓が止まっていても彼が119番通報していれば裁判員の心証は違ってくると思う」と。
また、東大教授のロバート・キャンベルも孟子の言葉を引用し次のように語った。
「惻隠の情という言葉がある。井戸に落ちようとする子どもを見た人は誰でも、理屈抜きに手を差し伸べるという意味で、日本人の道徳の基本だ。
一般的な国民感情としては、(押尾被告が)どうして手を差し伸べようとしなかったのか。彼は、やはり自分の保身、自分の理屈ですべてを引きつけて考えた。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト