きのう(2010年9月9日)開かれた押尾学の第4回公判で、通報を受けて出動した救急隊員と押尾の友人が証言。容疑の「保護責任者遺棄致死」のうち「遺棄致死」の部分が焦点となった。ただ、「遺棄」は立証できても、「致死」についは専門医学的な立証も必要で、裁判所の難しい判断を迫られそうだ。
7日の3回目の公判では、死亡した女性に対して押尾は「保護責任者」だったかどうかが争点になった。押尾が麻薬を持参して女性に飲ませたのなら保護責任者であるし、女性が自分で持って来たのならばその点が微妙になる。公判では押尾に麻薬を手渡した人物が証言に立ち、「女性が持って来た」という押尾側の主張は大きく揺らいだ。
専門医師が証言
第4回公判の争点は「遺棄」。女性に異変が起きた時間について、検察側、弁護側ともに午後5時50分ころ(昨年8月2日)で一致しているが、死亡時間については、検察側主張は「午後6時47分~53分」、弁護側は「午後6時ころ」と大きく食い違う。ただ、これまでの証言で「午後6時」という弁護側主張にはやや無理が ある。
この日も、事件当日に押尾から電話を受けたという友人は、「6時35分ころに『シャワーから出たら、女性が意識がなく倒れている』という会話をした」と証言、「救急車を呼んだ方がいいといったが、返事はなかったと思う」と話した。
この男性が退廷するとき、押尾は首を振りながら「信じられない」とつぶやいたという。
赤江珠緒キャスター「知人に裏切られたということなんでしょうかね」
立花裕人レポーター「友人を見て押尾の表情が緩んだが、押尾に不利になるような証言だったために、何をいってるんだと、思わず出た言葉ではないか」
救急隊員は一報から22分で医療機関までの搬送が可能で、異常が起こってすぐ、あるいは午後6時台の早い時間に通報があれば、「助かったかもしれない」と、検察側主張を補強する証言をした。
最後の争点は「致死」。死亡する前に医療機関に運ばれていたら助かったのかどうか。運ばれても助からなかった状態ならば「遺棄致死」と言えるかどうかということになる。その医学的な見解は、10日公判の医師の証言がポイント。
大谷昭宏(ジャーナリスト)は「埋まっているのは外堀ばかりだ」という。「最高裁の判例に、8~9割助けられるという状況でないと致死は成り立たないというのがある。これを証明するのは難しい。遺棄までは成立しても、致死は難しいのではないか」
押尾はあちこち電話をしているが、時間が経った段階でも「やばいっすよ」とは言っているが、「死んだ」とは言っていない。このあたりが弁護側の弱点となりそうだ