北海道・帯広市が主催するばんえい競馬に、「中高年の星」が現れた。ゴールデンバージ13歳。人間でいえば56歳だというのに、7、8月に開催された4レースで、1着、5着、1着、1着という好成績を残した。この馬、食用の馬肉になる寸前だったのだという。
キャラクターグッズも登場
ばんえい競馬はもともとは農耕馬のお祭りの余興で、200メートルの砂場を重さ1トンの鉄製のソリを引いて競う。途中に1メートルと1.6メートルの2か所の小山がある。勝負は馬の鼻ではなく、ソリの最後尾がゴールを通過した時に決まる面白いレースだ。
ゴールデンバージは成績不振から一度引退して、馬肉処理の寸前までいっていた。しかし、1人の調教師が買い取った。その調教師は言う。
「まだ足に力がある。馬肉用だと安いから、買い取って再調教しようと馬主に買ってもらった」
ばんえい競馬の競走馬の値段は200~300万円だが、ゴールデンバージは60万円。食肉の値段より安いくらいだった。それを再調教した結果が「これです」と映像を見せた。
いつ見ても厳しく悲しいレース。騎手の激しいムチを受けたゴールデンバージが最後に一馬身半で抜け出した。
「おお、勝った」と鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
東ちづる(女優)も「面白いんですよ」と言う。見たことがあるらしい。
ばんえい競馬は1991年には323億円の売り上げがあったが、09年に107億円に落ち込み、一時は廃止が取り沙汰されたこともある。ところが、ゴールデンバージの活躍で、今年の入場者は前年比10%アップ。グッズまでできる人気だという。
なによりも、馬肉寸前からの復活、優勝はリストラ中高年の希望の星というわけだ。やくみつる(漫画家)のコメントで大笑いとなった。
「56歳 でケツにムチを入れられる人生(馬生?)。いま51歳だけど、わたしは走らないね」
小木逸平アナが言うには、才能もあるが、調教師との相性もあるのだとか。思わず撫でてやりたくなる。これが人気の秘密か。