東大「年収400万円以下世帯は授業料免除」
そんな中、東大は「低所得世帯支援制度」を作った。年収400万円以下の家庭は授業料を全額免除。工学部のCさん(21)は寮にも優先的に入れたため、住居費は月1万円で済む。仕送りなしでもアルバイトでしのげるという。
この試みは、他の大学にも広がりつつあるが、まだ形は見えていない。文科省も低所得世帯支援と無利子奨学金の予算増額を求めている。財界からも経済同友会が、「年収に応じた返済額の減免」「貸与でなく給付型奨学金」を提言した。貧困の再生産という現状への危機感である。
この「給付型」はいわば奨学金制度の行き着くところで、有用な人材を国が育てるという国家の哲学でもある。北欧諸国が好例だが、イギリスは「所得連動型」の返済制度を採用している。先進国では日本の公的負担は極端に少ない。宮本教授は「未来への投資だと考えないといけない」と力説する。
民主党政権は高校までは無償にこぎつけた。その先をどう描いているか。滞納者をブラックリストに載せるような独法に、任せておいていいのか。ここはひとつ国家哲学の出番だろう。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2010年9月6日放送「奨学金が返せない~若者たちの夢をどう支えるか~」)