帝京大学附属病院の発表は衝撃的だった。去年(2009年)8月から今年9月1日にかけて、46人の入院患者が多剤耐性アシネトバクターに院内感染し、もともと抱えていた病気が悪化して死亡した人を含めて、27人が亡くなったというのである。
ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性アシネトバクターは、土や水の中にいるありふれた細菌が突然変異で「多剤耐性」を獲得したもの。健康な人には影響がないが、高齢者や幼児など免疫が弱った人が感染すると死亡することが少なくない。
手洗いするぐらいしか予防策なし
相当、厄介なシロモノのようだが、院内感染を防ぐ手立てについて井上貴博アナが、「早めに感染を察知して対応すること。院内感染対策の専門スタッフを増やす必要がある」と指摘すると、コメンテーターの末吉竹二郎(国際金融アナリスト)は「どうやって気づくんですか」と聞く。
井上は「そこは専門スタッフに委ねられているということです」と、少々心許ない。末吉は得心が行かない面持ちだったが、それ以上は突っ込まなかった。
静岡県立がんセンター感染症科の大曲貴夫医師の話では、新型インフルと同様、手洗いをすることが感染症予防には大事らしい。それくらいしか手がないのかもしれない。
それにしても、帝京大学附属病院はなぜ半年以上も発表しなかったのか。大したことだとは思わなかったのだろうか
文
アレマ