「土俵の鬼」と言われた45代横綱初代若乃花(82)の訃報を繰り返し伝えた。昭和30年代、ライバル栃錦とともに相撲界を支え、「栃若時代」を築いた。井上貴博アナによれば、「戦後の横綱では最軽量」だったが、「呼び戻し」のような大技を見せて、ファンを喜ばせた。引退後も二代目若乃花、隆の里らを育て、さらに相撲協会の理事長も務めた。
コメンテーターの北川正恭(早稲田大学大学院教授、元三重県知事)が相撲通ぶりを発揮する。
「あの頃はスポーツといえばプロ野球と相撲しかなかった。プロレス入りした力道山がアウトロー的スーパースターだったとすれば、若乃花は相撲の本道を歩いたスーパースターの感じ。
綺麗なんですよ、均整のとれた鍛えられた肉体が。それに、言葉の一つ一つ、挙措動作が鍛錬され訓練されていた。たとえば、普通の人が『ゼニは土俵の中に落ちている』と言えばイヤミになるが、若乃花は苦労したから吐ける」
きのう(9月1日)から夏休み中のみのもんたに代わるMC役の久保田智子アナが、「『土俵の鬼』と言われるのはイヤなのでは?」と素朴すぎる質問をしても、北川は「『鬼』には恐ろしいということだけでなく、神々しいという意味なんかもある」と誠実に返答していた。年の功だろうか。
文
アレマ