執行停止求めた被害者遺族の複雑な感情
日本ではとりわけ被害者が置き去りだ。10年前、24歳の長女を殺された立川正己さん(栃木)は先月28日、刑の執行をメディアから知らされた。宝石店の店員6人を縛り上げて放火した犯人は、最後まで反省を示さなかった。いまも「許せない」という立川さんだが、「これで気持ちの整理がついた」と言う。
原田正治さん(愛知)は少し違った。27年前、5歳下の弟が保険金目当てに雇い主に殺された。「絶対に許さない」と刑務所を訪ねた。犯人は頭を下げ、謝罪した。 これで気持ちの整理がついた。以来、手紙のやりとりが糧になった。原田さんは刑の執行停止を国に求めたが、その8か月後、執行された。「すべてが終わった」と言う。考えさせられる話だ。
世界をみると、死刑存続国は58か国日本、アメリカなど)だが、停止・廃止は139か国(英国、フランスなど)。廃止論の多くは人道上の理由とえん罪の懸念。多数派の国々はすでにこの論議を終えていて、死刑が犯罪防止になるという論も否定されているのだそうだ。
それにしても、日本で死刑支持が8割を超えるのはなぜだろう。近年残虐な事件が多いか らか。まだまだ死刑は他人事だからか。おそらく、長い長い論議になるのだろう。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2010年8月30日放送「死刑 あなたは知っていますか」)