NHKの福地茂会長が日本相撲協会の横綱審議委員会委員を今月初めに辞任していたことが明らかとなったが、テレビ業界ではこれでNHKは9月秋場所の中継再開がやりやすくなったという見方が出ている。どういうことなのか。
相撲協会は理事長交代、外部からの副理事長起用、親方や関取の意見交換会、iPadの配布などを矢継ぎ早に打ち出し、改革を演出しようと躍起だが、世間的には野球賭博問題、暴力団との関係にケジメがついたとは言えない。
NHKは相撲中継の条件としてこのケジメを重視するとしているが、7月の横審でもNHKが名古屋場所の中継を取りやめたことに批判が集中したという。福地会長が横審委員のまま秋場所で中継を再開すれば、視聴者は相撲協会に押し切られたと見るだろう。しかし、福地会長が委員を辞任しているので、「中継再開はNHKの独自の判断」と説明することができる。
「福地会長が横審を辞めて、秋場所も中継しないとなったら、相撲協会とNHKは決定的な対立関係になってしまう。そこに民放が入り込んでくるかもしれないが、1場所5億円と言われる放送権料はかなり値切られますよ。相撲協会にとってもNHKにとっても決してプラスにはならない。福地会長の辞任で秋場所の中継再開の環境は整ったということじゃないですかね」(相撲担当記者)
NHKは名古屋場所をダイジェストで放送したが、相撲協会は放送権料を辞退した。さすがに、秋場所もタダでというわけにはいかないだろう。NHKにしてみれば、5億円も支払ってダイジェストでは「採算」が合わない。NHK内部では中継再開はすでに『既定方針』になっているはずだ。(テレビウォッチ編集部)