「哀悼 梨元勝」飾るとこなかった反骨の芸能ジャーナリスト
21日に肺ガンで亡くなった梨元勝氏との付き合いは、彼が『ヤングレディ』の記者をしていた頃からだから、40年近くになる。
取材としゃべりはうまかったが、原稿の書けない記者だったと、今週の文春「さらば、梨元勝『最後の証言』」で書いている。結果的にはそれが幸いし、テレビに転身して芸能レポーターの新しい形をつくり、お茶の間の人気者になった。
飾るところがなく、無類の人の良さは、テレビで売れてからも変わらなかった。だが、大学時代、学生運動をしていたからではないだろうが、権力への批判精神はこれも生涯変わることがなかった。
テレビ局側が人気者を抱えるプロダクションに配慮して、彼の発言を規制することが増えてきたことに反発すると、テレビ側は彼を出さなくなってしまった。
だが、それに屈することなく、「SMAP」など多くの人気タレントを抱えるジャーニーズ事務所へのテレビ側の「自主規制」に対しても、ネットや携帯サイト、ツイッターなどを駆使して批判し続けた。
今のテレビは独自取材をしないで、出かけていく先は記者会見ばかり。それもタレントやプロダクションのいいなりになって、質問さえしない有様だ。
これでは『芸能レポーター』ではなく『芸能サポーター』です。(中略)週刊誌の記事も、ただ読み上げるだけ。なぜ、その先を取材しないのでしょう。こんな取材が続くのなら、私は、『ワイドショーなんかやめちゃえ!』と言っているんです。たかが芸能と言われるかもしれませんが、されど芸能なのです」
友人であり、反骨の芸能ジャーナリスト梨元勝氏の死を心から悼む。