滋賀県の中学1年生が柔道の練習中に意識をなくし、死去してから今日でちょうど1年。町役場が事故の再調査をしたが、その結果に遺族はあらためて怒りを爆発させた。
死去したのは愛荘町の秦荘中学1年生の12歳。柔道部の顧問のコーチによる1時間にわたる体罰的な乱取りで意識を失い、1か月後に亡くなった。少年は右脳の静脈が切れており、母親の話では「頭蓋をはずした時に、血が噴水のように溢れ出た」という。
乱取りで「絞めてまえ」「落ちるまでやってまえ」
事故直後の学校による聞き取りでは、少年がふらふらとあらぬ方へ歩いて行っていってしまうような状態でも、乱取りは続けられていたという。
医師は「ふらふらした段階でかつぎこまれていれば助かったかもしれない。頭に大きな力がかかった結果だ」と、乱取りによるダメージの可能性を指摘した。井口成人レポーターの取材に、生徒たちからコーチは「絞めてまえ」「落ちるまでやってまえ」という人だったとか、「頭を打っていた」「他の生徒が終わってからもコーチが投げていた」などの証言を得た。
母親も普段から少年はよく殴られていたと言う。それでも学校は「体罰はなかった、確認の必要はない」として、原因究明に動かなかった。教育委員会も「練習は適切だった」とした。
この1月、「スパモニ」がとりあげたことで、あらためて愛荘町が第三者委員会を作って検証を行い、その結果がこの7月14日に公表された。「練習は少年には過酷なもので、安全対策も整っていなかった」という内容だった。しかし、事故の直接の原因やコーチの指導に関しての記載はなかった。
検証結果の発表会見で調査委員長(びわこ成蹊スポーツ大学柔道部監督)は「少年のダメージはどこで起こったかわからない」と発言、井口が突っ込んで、ようやく「柔道による可能性が大きい」というところまで認めさせた。
ところが、愛荘町教育長は「(コーチは)いい先生だった。体罰はなかった」とした。井口が「じゃあ子どもたちはウソをついている?」と聞くと、「わかりませんね」とトボける。これに聞いていた少年の家族が切れた。
伯父にあたる人が「暴力行為はあったのか、なかったのか」と迫った。
「なかったと聞いている」
「多くの生徒が殴られたといってるんですよ。呼びましょうか、子どもをここに。あなたはそれでも教育者か。何のための安全対策なんだ」
母親も「制服の時でも呼び出されて、休みたいといったら、たたかれていた」
伯父は怒鳴った。
「教育長、どういういことかわかりますか。廊下や職員室の前で、たたかれていた。職員室の先生が、そんなことは行われていないと? それが本当なら、秦荘中の先生は全員嘘つきだ。それが教育者か。恥を知れ!」
母親「息子に何と報告したらいいのか。あんた原因わからんけど、死んだんやでと言えますか」
事実究明の姿勢まったくなし
井口によると、これを受けて教委はさらに調査をしたが、8月に出した結論は「日常的な暴力はなかった」だった。
赤江珠緒キャスター「何を守ろうとしているんでしょう」
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「事実を究明しようという姿勢はないね」
若一光司(作家)「顧問のコーチが直接説明すればいいのに、なぜ出てこないの」
赤江「当然そうですよね」
弁護士の大沢孝征は「司法解剖はしているのか。因果関係を出すにはこれが肝心。1年も経って何もしていない教委に能力はない」
直ちに証拠を保全して告発するしかない。学校はいじめですら認識できないのだから。