新聞社などが主催する花火大会が見物料を取るのはわかるが、ここ数年は自治体が開催する花見大会の「有料化」が広がっているという。この料金がけっこう高い。長引く不況で企業などの協賛が大きく減って、自治体も背に腹かえられぬというわけなのだが、見物客たちの反応はどうか。
4人用ブルーシートは2万円
今月21日(2010年)に開催された川崎市主催の「第69回多摩川花火大会」。川崎市は河原に有料のイス席と4人使用のブルーシート席を6000席用意した。イス席は飲み物2本と菓子が付いて5000円。シート席は2万円だ。当日の人出は23万8000人で、ゆっくり見ようとすると、朝の6時、7時から場所取りをしなければならない。有料席なら予約なので直前に行けばすむのだが、値下げしても売れたのは半分の3097席だった。
川崎市の担当者は説明する。
「市の財政事情や企業の協賛が減っていて、まあ、この景気では出してもらうのは難しいのかなと思います」
この花火大会の開催費用は7500万円ほどで、6年前までは企業から900万円前後の協賛金があったが、いまは700万円だ。7500万円の内訳は花火代1500万円、警備・設備代4500万円、清掃・後片付け代1500万円。警備代がかなりかかっているわけだが、大混雑の中で見物客からケガ人を出さないためにはこのくらいは必要なのだろうか。
しかし、見物客からは「おかしいですよ。花火ってタダで見るものだと思っているから。有料席だけになっちゃうと困りますよね」という声もあれば、「ゆっくり見られるなら有料でいい」「4人シートで2000円ぐらいならね」とさまざまの声が聞こえる。
同じ日に川をはさんで開かれる東京・世田谷区の花火大会は、イス席4000円、シート席1万2000円だ。