沖縄本島から320キロ南にあるサンゴ礁に囲まれた美しい伊良部島。その海岸で7月20日、ホテルの従業員が岸辺に漂着した大量の麻薬・ケタミンを発見した。
一方、海水浴客でにぎわう神戸市の海岸では先週、少年少女ら6人がケタミンなどの所持・使用の疑いで逮捕される事件もあった。
番組は南の島に漂着したケタミンのナゾを追った。
海流に乗せて受け渡し
伊良部島の海岸に漂着したケタミンは14キロ。1m以上もある筒状のカプセルに、数十個のポリ袋に区分けされて詰め込まれていた。
ケタミンは動物病院などで使用される麻酔薬だが、人が摂取すると幻覚症状を起こし、死にいたる危険な薬物だ。このケタミンが『スペシャルK 』という呼び名で、若者の間に広がっているという。それを当て込んで中国からの密輸も急増しているという。
伊良部島の海岸に漂着したケタミンもそうした密輸品とみられているが、「瀬取り」と呼ばれる驚くべき手口で運び込まれるらしい。
これまでは海上で直接受け渡す方法が取られていたが、これだと取締当局のレーダーで捕捉されやすい。この網をくぐる手口が「瀬取り」だ。薬物を運んできた密輸船がGPSで確認しながら、打ち合わせておいた海域で薬物の入った袋を海に投げ入れると、袋は海流に乗って漂流。受け取り船が漂流先を予測して回収する。袋が伊良部島に漂着したのは、受け取り側が回収に失敗したからだ。
司会の加藤浩次が「これだと取り締まりは難しくなるでしょう」と言うように、密輸業者の手口は巧妙化する一方だ。結局、若者の麻薬乱用を断ち、需要をなくすしかないのだが、それも思うようにいかない。