きのうに続く玉川徹ディレクターの「安心と税金」特集は、再びスウェーデンを例に長妻厚労相に迫った。
スウェーデン在住50年という田中久(88)、信子(78)=年齢は1年半前当時=夫妻の例。年金制度は日本と違って全国民がひとつのシステム。スウェーデンに住んで税金を払っていれば、だれでも同じ。たとえ納入が滞っていても、最低の年金・給付が保障されている。
年金月額は平均で男22万5000円、女14万1000円だ。夫妻はゆったりとした住宅に住み、「これが平均だ」と言う。信子さんの診療所通いを追うと、地下鉄のターミナルの4階が診療所。1回が約1500円だが、負担の上限が1万2000円と決まっていて、それを超えるとすべて無料だ。
医師は当たり前のようにこう言う。
「医療レベルは高い。病院による格差もありえない。30分以上待ったりもない。あったら、どれも大問題になる」
田中さんも「金持ちでも貧乏人でも権利は同じ」と言う。
税金7割のスウェーデン年金暮らし
介護の現場も日本とはずいぶん違う。早朝、ヘルパーが高齢者用の専用住宅に住む92歳の女性を訪ね、朝食を作って薬を飲ませる。住宅は質素なダイニング・キッチンと寝室、広々としたリビング。介護の基本は在宅なので、この住宅事情が支えだ。
ヘルパーは1日に6回訪れる。緊急用のブザーが手首に付けてあって、いつでもヘルパーを呼べる。女性は「子どもと住もうとは思わない。迷惑をかけたくない。彼らには自分の人生があるから」と言う。
とにかく、日本とは違い過ぎて、絶句するばかり。日本で高齢者に「何が不安か」を聞くと、年金35%、医療22%、介護13%となる。制度を信用しきれない。だから自らの備えで貯蓄が多くなる。スウェーデンにはこの不安がほとんどない。これが「収入の7割税金」の結果だ。
長妻「選択する時期に来ている」
玉川は長妻大臣に「日本はどこを目指しているのか」と聞いた。低福祉・低負担のアメリカ、高・高のスウェーデンとの間に、中・中のフランス。日本の現状はフランスよりちょっと低負担という位置だ。
長沼は少子高齢化がいかに急速に進んでいるかを図で示した。以前は年金は1人の受給者を5人の現役で支えていたが、いま3人になり、2050年には1人になる。
「いまのままの小さな政府で乗り切るのは難しい。税制の改革をやらないといけない」と長妻は言う
玉川「税がどう使われているかに疑問がある」
長妻「ムダをなくすこと。これを実感すれば、増税も理解してもらえるはず」
キャスターの赤江珠緒「民主党としては、高福祉高負担を目指すのか」
長妻「家族のほころびはあるが、まだ機能している。家族でできないものは社会がやることに徐々になっていくだろう」
玉川が朝日新聞の調査結果を示した。大きな政府58%、小さな政府32%。「国民は わかっている。高負担になっていくんだろうなと」
長妻「どういう社会を了解してもらえるか、国のあり方を選択する時期に来ている。与野党で議論していきたい」
赤江「税金の無駄遣いをなくすのは当然だが、これだけでは無理では?」
長妻「高齢化で毎年社会保障の自然増が1兆円あり、無駄遣い削減だけでは無理だ。政府がきちんと使っていると理解されないといけない」
長妻大臣は来週の月曜日にも出演するという。この話はまだ続く。