「SAMSUNG」のロゴを背に、赤江珠緒キャスターが「このロゴをご存知でしょうか」と聞いた。そうか、日本ではたしかに見ない。が、テレビ、半導体のシェア世界1の家電メーカー。その工場に「スパモニ」のカメラが入った。初の独占取材だという。
100メートル競走と中距離走
かつて世界を席巻していた日本の家電メーカーはいま、ソニーが3位、以下パナソニック、シャープと続く。1位はサムスン電子、2位LG電子、ともに韓国企業で、世界シェアの4割を占める。
日本が得意だったはずだがソウルの南にある半導体工場は、東京ドーム64個分。「ひとつの町だ」とレポートした立花裕人が言う。営業部門のオフィスに入ると、日本、中国、アジア・太平洋とセールス部門が分かれている。
唯一の日本人、岡田圭介さん(37)を中心に日本チームが集まった。「朝の10分間トーク」は、仕事以外の話を日本語で話す。沖縄のブタの話から円高の話まで旺盛な好奇心。これがセールス地域への理解を深めるのだという。
日本支社で15年勤めた岡田さんはいま、逆駐在という形で本社勤務。サムスン躍進の陰には、韓国特有の文化があるという。
「パリパリという言葉がある。とにかく早く早く。IT業界のスピードについていくスピードが重要だ」
パナソニックの大坪文雄社長がこの7月、「100メートル競争のスピード。われわれはひょっとすると中距離走のスピード」と言ったスピードのことだ。ひとつの例が、3Dテレビだ。日本メーカーの動きに先駆けて今年2月に発売した。
会社もちで「1年間日本見てこい」
特徴的なのは地域専門家を育てる制度だ。イ・ジェミョンさんは1年間を日本で過ごした。仕事なしで日本を学ぶ。47都道府県を全部まわったというが、費用はすべて会社が出す。「人生自体が変わった。そのきっかけになった」という。具体的な成果は、たとえば「日本の人ならどういう質問をするだろうかということがわかる」ようになったこと。これを完璧な日本語で話す。
地域専門家は1990年から20年間で4000人。これがいま世界の68か国に展開している。シェアはその結果の表れだ。
立花が「サムスン製品をスタジオに用意しました」と取り出したのが小さな半導体。
「これも世界一なのです」
デジカメから携帯電話、冷蔵庫に使われ、液晶パネルはテレビからパソコン画面まで。
赤江キャスター「海外に行くとサムスンの広告が多いそうですね」
コメンテーターの鳥越俊太郎「ソ連時代のモスクワの空港で見たときは、なんだかよくわからなかったが、のちバグダッドにいったら、サムスンとLGばかり。大きくていっぱいあるから、目立つ目立つ」
小木逸平アナ「人材への投資はすごいですね」
作家の若一光司「企業は大きくなると効率が悪くなるものだが、情報共有のシステムで、スケールデメリットにならない」
弁護士の大沢孝征「孫子の兵法ですね。敵を知り己を知れば、百戦危うからず。本来、日本が得意だったはずだが」
立花「(サムスンの工場で)いま日本は元気がないと言ったら、『何を言ってるんですか立花さん! 日本のテクノロジーがサムスンの支え。日本がんばってくださいよ』と言われて、思わず『カムサムニダ』」(爆笑)