青森県の十和田湖の湖底で、旧陸軍の双発練習機が見つかった。戦時中の昭和18年に墜落したが、当時は軍事機密で公表されなかった。水中カメラがとらえた機体はほぼ完全な形を保っていた。
尾翼に日の丸。機体ほぼそのまま
地形調査で訪れた調査会社のスタッフが泊まった民宿「春山荘」で、主人の金村春治さん(80)が墜落事故当時の話をした。
「山すれすれを飛んで墜落した。近くで漁をしていた父が1人を助けた」
事故があったのは昭和 18年9月28日で、3人の少年兵と整備士1人が乗っていたが、救助されたのは少年兵で、他の3人は機体とともに沈んだ。金村さんは墜落の音も聞いており、目撃者もかなりいたのだが、戦時中で一切報道されなかった。
これを聞いた調査会社「ウインディーネットワーク」の杉本憲一社長が、「1日だけ」のつもりで調査したところ、音響測深器がみごとに機影をとらえた。そこで水中カメラを入れてみたところ、間違いなし。尾翼から日の丸、コックピットまでがそのままの形を保っていた。
機体は立川飛行機が作った一式双発高等練習機で、正式採用は昭和16年。性能のいい機体だったという。杉本社長は「水温が4、5度なので、保存状態はいい」という。3人の遺体もそのまま機内にあるかもしれないのだが、水深は300メートルを超える。
ジャーナリストの大谷昭宏が「引き揚げられないのかなぁ」と、彼らしくないことを言ったが、小木逸平アナは「調査会社は『要請があれば、これも何かの縁』と言っているそうです」
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト