ひとり暮らしの老人が人知れず命を落とす、孤独死。その情景も悲惨だが、後始末にも特殊な処理が必要だ。いったいどうなっているのか。その現場を、120日にわたって「スパモニ」のカメラが追った。
高齢者の所在不明が伝えられるが、孤独死は全国で数万人にもなるという。何週間も、時には何か月も経って発見されるとこがある。この清掃を専門に行う業者があった。
遺族は遺骨引き取り拒否
死後長時間経つと、死者の脂は床にまで達する。床に残る黒い影。時にはそれが床下から、下の階の天井にまで達することもある。
「シミは微生物、酵素なんです」
感染症の危険もあるため、作業員は防毒マスクとビニールのコートで防御する。
東京都内のマンションの1室で亡くなった60代の男性は、台所で倒れていた。心不全だった。虫がわき、ハエが増えて大家が気が付いたという。想定外のものもある。「ネコも死んでます」
遺骨を引き取る身内はいなかった。拒否されたのだ。特殊清掃代20万円は男性の残した現金から払われた。
20代の男性は「残ったぼくの物は全部捨ててください。できたら、ぼくの事は忘れてください。ごめんなさい」と遺書を残していた。親族は「勝手に死んだんだから」と関わりを拒んだ。
家族が身近にいても孤独死はある。60代の男性は心筋梗塞でなくなった。発見されたのは2週間後。食べかけのパンが落ちていて、テレビを見ているときに発作に見舞われたようだった。
部屋の中央に年賀状や孫の写真が飾られていた。娘が3人いて、月に数度は訪れていた。発見まで2週間かかったことを、娘たちは悔やんだ。娘たちが最後の掃除をした。