小木逸平アナが大きなボードを出した。「WANTED」とメガネをかけた丸顔の男のイラスト。「いま子どもたちの間でこのオジさんが指名手配中です。その名も『100万円おじさん』」
1540杯を高校生以下に無料提供
先月27日の午後3時ころ、大阪・住之江区のラーメン店「麺匠 味冨久(みふく)」に来た客が、ラーメン、ギョーザを食べ、チューハイ2杯を飲んだ。まあ、普通に食事を終えたのだが、ここからが仰天話。この男、レジで会計を済ませると、「これで子どもたちにラーメン食べさせて」とポンと100万円を出すではないか。驚いた店員が「受け取れません」なんて言っているうちに、男はタクシーを拾って「逃げて」しまったというのだ。
困った店長(35)はあわてて警察に届けて「拾得物」扱いになったが、翌日に電話がかかってきて、「あのお金でラーメン食べさせた?」と確認してきた。
こうなると、店としてもラーメンを提供せざるを得ない。「329(みふく)ラーメン650円」を、100万円分。割り算すると1540杯を「高校生以下限定」として、無料で食べさせることにした。
たちまち店は子どもたちでいっぱい。初日70人、2日目150人、3日目340人、次が550人、そして430人と、わずか5日で売り切れとなった。「子どもたちの口コミの早さはすごい」と小木。
店内には番号をふった紙がぎっしりと張られ、子どもたちが自分の番号にそれぞれ書き込みをしている。「おっちゃんありがとう」「うちにも100万円もってきて」などなど、さすが大阪。
店長はおっちゃんの似顔絵の入った指名手配書をつくって、「街で出会ったら『ラーメン食べさせてくれてありがとう』と伝えましょう」とやった。その手配書が先の「WANTED」だ。
しかし、店長の心配はまだ続く。いまのところラーメン100万円分は店が立て替えたことになっている。遺失物法では3か月たっても落とし主が現れないときは、拾った人のものになるのだが、ひょっとしておっちゃんの気が変わったら……。